「偉人は最初から偉人だったわけではありません。大切に育てた親がいたんです」と語るのは偉人研究家の真山知幸さん。特に“親の言葉”が偉人たちに大きな影響を与えたといいます。教育評論家の親野智可等さんのコメントとともに紹介します。
「ほかの鳥の鳴き声はなんでもまねるが、自分の鳴き声がないんだ」
お父さんは歯科医、お母さんは音楽家と裕福な家庭で育ったマイルス。9歳でトランペットの演奏を始めて、高校卒業後にニューヨークのジュリアード音楽院を希望し進学。しかし、入学後のマイルスは授業の退屈さに失望します。そこで突然故郷に戻り、父に退学の意思を伝えました。時代は変わり続けていて、音楽もスタイルも変化の中にある、退屈な授業を受けるのではなく、仲間との音楽活動に時間を使いたい、と。そこで父が伝えた言葉が「わかった。何をするにしろ、しっかりやれ」「窓の外の鳥の鳴き声が聞こえるか? 自分の鳴き声がないモッキンバードさ。ほかの鳥の鳴き声はなんでもまねるが、自分の鳴き声がないんだ」「自分自身に正直にな」でした。
このエピソードのポイントは、マイルスは「音楽をやめたい」とは言っておらず、父がそれを広い視野で理解している点。好きで得意なことを本気で追求するために、環境を変えようとしているわが子に親身にアドバイスしているわけです。そのアドバイスを素直に受け入れ、自分だけのサウンドを追求したマイルスは、ジャズの帝王となりました。(真山さん)
「やりたいことをやれ」と、子どもの人生を尊重する、このような親の姿勢は子どもの才能を伸ばすうえでとても良いです。また「モッキンバードになるな」という意味のフレーズは、「自分らしくあれ」ということですよね。AI(人工知能)化が進むこれからは個人のブランディングがすごく重要になります。お絵描きでも人形遊びでも、スポーツでも、子どもが勝手に熱中してやっていることは生まれつきの資質ですから、ぜひその行動を抑制することなく見守ってくださいね。(親野さん)
※本稿は、『プレジデントFamily2026夏号』の一部を再編集したものです。



