健康体に欠かせない不飽和脂肪酸
栄養素は、体の様々な場所を巡り、消化・吸収され、活用されます。糖・脂質・タンパク質が体内でどのように変化するかという代謝の流れを理解することは、栄養学を深く学ぶ上で欠かせません。
少し内容は難しくなりますが、体の仕組みの「中心」を一緒に丁寧に押さえていきましょう。
我々は食を通じて33種類の栄養素を取っており、この栄養素は糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルに大別されます。
糖質には、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース、ラクトースなどの糖(糖類)が含まれます。糖質と食物繊維を合わせて炭水化物と呼びます。脂質には、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、コレステロールなどがあり、この中の不飽和脂肪酸には体内で合成できない必須脂肪酸も存在します。
不飽和脂肪酸の中で、炭素間の二重結合を一つ持っているものを一価不飽和脂肪酸、複数持っているものを多価不飽和脂肪酸と呼びます。
脂肪酸はメチル基とカルボキシ基を両端に持っており、その間は炭素が連結した直鎖となっています。ヒトではメチル基の炭素を1番目として数えて、9番目以降の炭素に脂肪酸デサチュラーゼによって二重結合を導入できますが(9番目と10番目の炭素間で二重結合ができる)、これより手前の炭素には二重結合を導入できません。
魚食「n-3系不飽和脂肪酸」のチカラ
この酵素による二重結合の導入は滑面小胞体で行われます。
6番目の炭素(6番目と7番目の間)に二重結合を持っている脂肪酸をn-6(ω6)系多価不飽和脂肪酸と呼び、リノール酸とアラキドン酸があります。一方、3番目の炭素に二重結合を持っている脂肪酸をn-3(ω3)系多価不飽和脂肪酸と呼び、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)があります。
これらのn-3系とn-6系の多価不飽和脂肪酸は食事から摂取しなければいけない必須脂肪酸です。リノール酸からアラキドン酸、α-リノレン酸からEPAとDHAを体内で合成することもできますが、必要量を合成できないので、アラキドン酸、EPA、DHAは必須脂肪酸となっています。
EPA、DHA、アラキドン酸は体内で重要な役割を果たすと考えられています。疫学調査では、魚の消費量の低い国ほどうつ病の有病率が高い、また、母親の妊娠時の魚食習慣が少ないとIQの低い子どもの割合が高くなることが指摘されています。
魚食の中に含まれるEPAとDHAなどn-3系不飽和脂肪酸がこの要因であると指摘されています。n-3系不飽和脂肪酸が脳に及ぼすメカニズムはまだ明らかになっていませんが、少なくとも魚を食べてn-3系不飽和脂肪酸を摂取することのメリットは大きいといえそうです。



