「ピンチはチャンス」「小が大に勝つ」といわれるが、そんなことは実際にあるものか。『1日1話、読めば心が熱くなる365人の人間学の教科書』の編集を担当した小森俊司さんは「100円ショップ・ダイソーとアシックス、両社に共通する創業者の“弱者の戦略”が面白い」という――。(第2回/全3回)
DAISO 100円ショップ
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「ダイソー」創業者、躍進の原点

苦労ほどありがたい恵みはない。困難に揉まれ、人間が鍛えられた先に、回り回って徳や運が味方につき、自ずと運命は拓けていくのだと実感します。

一方、恵まれることは不幸が訪れる序曲です。現状に甘んじた瞬間、国も会社も人も衰退の一途を辿ります。

恵まれない幸せ、恵まれる不幸せ――。これが、私の経験から伝えたい教訓です。

100円ショップの先駆けとして知られ、国内外に約5600店舗を展開する業界最大手「ダイソー」。同ショップを手掛ける大創産業の創業者・矢野博丈氏が、80歳で逝去される数カ月前のインタビューで述べた言葉である。

今年、創業54年目を迎える同社だが(法人化は1977年)、現在でも毎月1000種以上もの新商品を開発するなど、お客を飽きさせない工夫を絶えず凝らしているのだという。

常に強烈な危機感を持ち続けることが、企業躍進の源泉となっていることを感じさせる。

100円
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半世紀近くにおよぶリーダーたちの言葉の宝石箱

今回、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の人間学の教科書』を編むにあたり、1978年の雑誌「致知」創刊以来、戦後の復興期を支えた巨星から令和を牽引するリーダーまで、無数のリーダーたちの言葉に触れた。

その経験を通して、矢野氏の言うような「恵まれない」状況、圧倒的不利な状況下から一筋の光を見出し、一業を築いてきた人々に共通することがあると確信するにいたった。それは、彼らが自らの発想を転換することで、ピンチをチャンスに変えるための知恵をひねり出し、小が大に勝つための具体的な方策を編み出していく、ということだ。

「結果を出すリーダー」とは、いかなる逆境にも決して屈することなく、それをむしろ飛躍の糧とし、難局を突破していくのである。