ビジネスで成果を出すには何をすればいいか。経営者の規格外さんは「クロネコヤマトが宅配便市場で大成功を収めた後に、動物名を冠した宅配サービスが約40社も現れたが、結局どこも本家を超えられなかった。これは、モノマネの上手な代議士を評した田中角栄氏の言葉を強く裏付けている」という――。
※本稿は、規格外『すべては言葉からはじまる』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
ビジネスの模倣の本質を突いた田中角栄の言葉
かつて田中角栄氏が、モノマネの上手な代議士を評して「モノマネの上手い人間は大成しない」と語ったそうである。
この言葉はビジネスにおける模倣の本質を突いている。思い出すのが、クロネコヤマトが宅配便市場で大成功を収めた後に起きた「動物戦争」のエピソード。
クロネコヤマトの後に、動物名を冠した宅配サービスが約40社も現れたが、結局どこも本家を超えられなかった。これは、成功の背後にある本質的な構造を捉えず、名称という表面的な要素だけを変える「あからさまなモノマネ(パクリ)」の愚かさを如実に示している。
模倣には二種類ある。一つは誰の目にも明らかな表層的な模倣。当人が「ハックした」と得意になっても、周囲から見れば二番煎じに過ぎず、ブランド価値を毀損する逆効果となる。
一方で、真に賢明な経営者やビジネスパーソンが志すべきは、構造レベルでの「深い模倣」。対象を徹底的に観察し、その成功を支える仕組み、オペレーション、思想といった骨格を抽出し、換骨奪胎の上で自らの土俵に移し替える。そこに独自性が生まれたとき、初めて模倣はイノベーションへと昇華する。
この「深い模倣」は、表層をなぞるだけでは不可能な、一定以上の知性と洞察力を必要とする難事業。だからこそ、大きな成果と持続的な優位性につながる。
クロネコヤマトの成功と、その後に続いた模倣の失敗は、田中角栄氏の言葉を強く裏付ける。単なるモノマネだけでは先行者に劣後するが、構造を掴み、再構築できた者は革新者となれる。

