加糖の缶コーヒー、菓子パン、カップ麺……。なぜ医師たちは、こうした食品を避けるのか。匿名アンケートから見えてきた医師たちの本音とは――。

医師たちの食生活はどれも理にかなっていた

「健康のプロ」である医師たちは、どのような食生活を送っているのか。35人の現役医師にアンケートをとった結果、一般人との違いが浮かび上がった。

まず注目したいのが飲酒率だ。お酒をまったく飲まない医師は46%にのぼり、一般男性の26%を大きく上回る。「酒は百薬の長」という言葉があるが、2018年以降、複数の大規模論文によって「飲酒量はゼロが最も健康リスクが低い」という知見が相次いで発表された。アルコールはたとえ少量でも健康寿命を縮めるリスクがあるのだ。

一方、朝食の欠食率は医師が17.1%に対し、40〜50代男性は22.6%。差は小さいが、朝食を摂ることの意義を医師は理解している。朝食は体内時計の「末梢まっしょう時計」をリセットし、筋肉合成を促すたんぱく質を補給する機会でもある。「朝のたんぱく質」を抜くと、前夜から当日の昼にかけて12時間以上の空腹が続き、脳が筋肉を分解してエネルギーに変えはじめる。医師の欠食率が低いのは、こうした知識と無縁ではないだろう。

【図表】絶対に食べない・飲まない食品ワースト 10

上の「絶対に食べない・飲まない食品ワースト10」を見てみよう。1位はエナジードリンク(51%)、2位は加糖の缶コーヒー(49%)、4位には加糖の炭酸飲料(37%)がランクインした。

上位に「砂糖を多く含む飲み物」が集中したのは、なぜだろうか。

液体の糖質は固形物より吸収が速く、血糖値を急激に押し上げる。食後2時間の血糖値が140mg/dLを超える「食後高血糖」が起きると、体は大量のインスリンを分泌し、その反動で血糖値が急降下する。これが「血糖値スパイク」だ。この乱高下が続くと、酸化ストレスが細胞を傷つけ、動脈硬化や認知機能の低下、がんリスクの上昇にもつながる。昼食後に眠気を感じるという人も多いが、それもこの血糖値スパイクが引き起こしているのだ。

3位のマーガリン(46%)には、トランス脂肪酸の問題がある。人工的に生成されるトランス脂肪酸は動脈硬化を進行させ、心臓病や糖尿病のリスクを高めるとされる。

【図表】積極的に摂っている食品・成分ベスト7

次の図表で「なるべく摂らないようにする食品」として挙がっている菓子パンやスナック菓子などは、「超加工食品」と呼ばれる。NOVA分類によれば、超加工食品の定義は、「糖分、塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料などの添加物を付与して、工業的過程によって作られる、常温でも保存することができ、日持ちする食品」だ。カロリーが高く、砂糖、塩、脂肪が多いため、体重増加や肥満につながるおそれがある。

【図表】なるべく摂らないようにする食品

では、医師が積極的に摂っているものは何か。1位は食物繊維(74%)、2位はたんぱく質(60%)、3位は発酵食品(57%)だった。この3つは、老化を加速させる「糖化」「酸化」「腸内環境の悪化」という3つの要因に対抗する栄養素・食品群だ。

食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やして腸内環境を整える。特に大麦・オーツ麦・芋類・豆類に豊富な「発酵性食物繊維」は腸内で短鎖脂肪酸を生み出し、血糖値の上昇抑制や免疫機能の調整に働く。