発酵と細分化で吸収効率が大きく変わる
スーパーやコンビニで「たんぱく質○グラム」と大きく表示された食品を、最近よく目にするでしょう。しかし、その数字を鵜呑みにしてはいけません。食品に含まれるたんぱく質が、そのまま体に吸収されるわけではないからです。食品によって吸収率はまるで異なり、また食べ方を変えるだけで、同じ量を食べても体に届くたんぱく質は大きく変わります。
筋肉を強化したり、肌や髪のツヤを取り戻したりしたい場合、お勧めなのが「アミノ酸スコア100」の食品です。と言っても、耳慣れない用語なので、どんな食品なのかをご説明しましょう。
私たち人間のたんぱく質は、20種類の「アミノ酸」という有機化合物が結合してできています。そのうち、11類のアミノ酸は、糖質や脂質から体内でも合成できますが、ロイシンやフェニルアラニンなど9種類のアミノ酸は合成できません。そのため、食品から摂らなければならず、「必須アミノ酸」と呼ばれています。
食品に含まれる必須アミノ酸の質を評価した成績表が「アミノ酸スコア」。必須アミノ酸は1種類でも欠ければ、たんぱく質が合成できず、必要な量が不足すれば、十分なたんぱく質を作れません。そこで、必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品を摂る必要があるのです。満点は100で、たんぱく質を最も効率よく摂れる食品といえるでしょう。肉・魚・卵・牛乳・乳製品・大豆などが満点で、そうした食品を「アミノ酸スコア100」と称しています。
栄養成分表示や食事管理アプリなどを見れば、食品のたんぱく質の含有量がわかります。しかし、食品を食べても、表示された量がそのまま体内に取り込まれるわけではありません。たんぱく質の種類によって、「吸収率」が異なるからです。
吸収率を上げるコツの1つ目が細分化。分解された「アミノ酸の状態」に近づくほど消化されやすく、腸からスムーズに吸収されます。例えば、肉のステーキよりも、ひき肉のほうが吸収しやすいといえます。大豆そのものよりも、大豆をすり潰した原料から作る「豆腐」のほうが、吸収率が抜群に高くなります。吸収率を極限まで高めたのが、粉末状のプロテインのサプリメントです。
コツの2つ目が食品の発酵です。発酵を担う「乳酸菌」の働きによって、たんぱく質がアミノ酸に分解され、体内で消化・吸収されやすくなるのです。例えば、大豆を摂るなら、枝豆や煮豆よりも発酵させた納豆や味噌のほうがお勧めです。牛乳が苦手という人でも、牛乳を発酵させたヨーグルトやチーズのほうが吸収率がいいので、試してみてはいかがでしょうか。ちなみに、寿司の先祖である「サバ寿司」なども、発酵食品です。
具体的に私が実践している方法をご紹介すると、食事でご飯の代わりに、絹ごし豆腐1丁(たんぱく質含有量は約20グラム)を食べるようにしています。たれや付け合わせで味に変化をつけやすいので、毎日食べていても飽きません。糖質摂取も抑えられるので一石二鳥。それに、牛乳1杯(同約6グラム)をメニューに追加すれば、肉をほとんど食べなくても、1食で必要なたんぱく質をほぼ補えます。
納豆と卵かけご飯、豆腐の味噌汁、焼き魚といった伝統的な「日本の朝ごはん」のメニューは、考えてみると、たんぱく質を摂取するのに「理想の食事」だということがわかります。こういったメニューを参考に、良質なたんぱく質を効率よく摂れる食品を選びましょう。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2026年5月15日号)の一部を再編集したものです。
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