高齢者はタンパク質を摂ることが最優先
食後の血糖値上昇を抑えるために、野菜から食べる「ベジファースト」という食べ方を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかし、研究や臨床の現場から、必ずしもそれが現実的ではないうえに、全員にとっての正解ではないことがわかってきました。
長年推奨されてきた「ベジファースト」にも盲点があります。実は、野菜だけを先に食べて食後の血糖値の上昇を抑えようとすると、かなりの量を食べなければなりません。
野菜を先に食べると、野菜の食物繊維が小腸で糖や脂質の吸収を抑えることで血糖値を上げにくくすると考えられています。しかし、普段の食事におけるベジファーストの効果は、野菜の食物繊維というよりドレッシングなどの油分が胃の働きを緩やかにして血糖値上昇を抑えていると考えられています。
高齢者にとってベジファーストには見過ごせない弊害が指摘されています。40〜50代前半までは食事量を節制してメタボ対策に取り組む人が多いでしょう。一方で、60代後半から徐々に食べられる量が減り、筋肉が落ち、そして運動量も減るという悪循環が始まります。これが進行すると、加齢とともに筋肉量と筋力が低下する「サルコペニア」や、筋力、認知機能、社会性などが低下する「フレイル」のリスクが高まります。
高齢者が筋肉を作り維持するためには、若い人以上にタンパク質を摂る必要があります。1食あたり20グラムを目安とし、足りない場合はチーズやヨーグルトなどで補うこともおすすめです。
「たくさんの野菜を先に食べる」というベジファーストを実践してしまうと、野菜を食べた段階でお腹がいっぱいになり、本来必要な肉や魚といったタンパク質が十分に食べられなくなります。
メタボ対策の刷り込みで、つい「食べすぎてはいけない」と思いがちですが、高齢者はそれでは逆に心身の健康を損なうのです。ですから、ある程度の年齢になったら食事のギアチェンジを意識するようにしましょう。ベジファーストは控えて、筋肉の材料となる肉や魚を先に食べることをおすすめしています。
その食べ順では血糖管理ができないと考える人もいるかもしれませんが、心配は不要です。実は、「肉や魚から食べ始めても、食後の血糖値上昇は抑えられる」ということがわかっています。食後の血糖値を抑える効果は、たくさんの野菜を先に食べた場合とほぼ同じですから、まずはタンパク質をしっかりと摂り筋肉を落とさないことが、高齢者には最優先となります。
そもそも、なぜ食後の血糖値上昇を気にする必要があるのでしょうか。糖尿病の人は、「脳梗塞」や「心筋梗塞」、重症化すると失明にいたる「網膜症」や透析にいたる「腎症」といった合併症リスクを下げるために、血糖コントロールは非常に重要です。
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