脳の3分の2が「油」不足すると心身に不調が
油(脂)は身体によくない――。脂質にはそんなイメージが付きまといますが、本当にそうなのでしょうか。
脂質は糖質やたんぱく質と並ぶ三大栄養素の一つで、人間の身体には必要不可欠なものです。例えば、人間の身体は約37兆個もの細胞で構成されていますが、その細胞を覆う膜は脂質で作られています。人体の水分以外の固形部分は約40 %が脂質で、脳に至っては約65%が油でできています。近年、うつ病や認知症の増加が社会問題になっていますが、その根本には「油不足によるバランスの偏り」があるのです。
しかし、ただ脂質をたくさん摂ればいいというわけではありません。重要なのは「油の選び方」です。多くの人は自分がどんな油をどれだけ摂っているかを意識していませんが、油には「良い油」と「悪い油」があります。身体を構成する油のバランスが崩れると、細胞が不安定になり、老化も進行していくことになるでしょう。
脂質には、大きく分けて「油」と「脂」の2種類があることを覚えておいてください。どちらも「あぶら」ですが、その特徴や原料には違いがあります。
「油」は、基本的には常温で液体のもの。サラダ油やごま油など、いわゆる植物性油脂と呼ばれているものです。植物は種や胚芽、果肉などに油分を含んでおり、これを搾って抽出したものが植物性油脂です。
一方、「脂」は常温のときは固体です。牛脂や豚脂など、名前からもわかるように、動物が体内に持っている油脂が該当します。牛乳や乳脂肪が作られるバターも脂です。
ただし、必ずしもきっちり分かれるわけでなく、魚油は動物性油脂ですが「油」に属します。ココナッツオイルは植物性油脂ですが、常温(20〜25度以下)では固体の「脂」となります。このように「あぶら」と一言でいっても特徴の異なる油と脂があるのです。
簡単にいうと、常温で固体の「脂」は太りやすく、常温で液体の「油」は太りにくいという違いがあります。体内で脂は固まって蓄積しやすく、油はサラサラでエネルギーなどとして消費されやすい性質があるからです。だからといって、一概に脂が悪い脂質で、油が良い脂質ともいい切れません。油の中にも「摂りすぎてはいけない油」があるからです。
脂質を構成する「脂肪酸」は、大きく4種類に分けられます。
1つめが「飽和脂肪酸」。バターやラードに多く含まれ、常温で固まりやすく、摂りすぎると体脂肪として蓄積されやすい「脂」です。2つめが「一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)」。代表格はオリーブオイルで、体内で炭水化物から合成することもできます。この2つは「体が自分で作れる油」です。
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