我慢も空腹も必要ない。油とたんぱく質を先にたくさん食べるだけで血糖値の乱高下は防げる。緩やかな糖質制限「ロカボ」提唱者が明かす、体が若返る糖質との付き合い方とは。

「食後の猛烈な眠気」は老化の黄色信号

ランチの後、午後2時ごろになると猛烈な眠気に襲われる――。心当たりのある人が多いのではないでしょうか。「昼食を食べれば眠くなるのは当然」「年のせいだろう」と片付けているかもしれませんが、あの眠気やだるさは、あなたの体の中で起きている血糖値の乱高下が引き起こしています。私はこの現象を「糖質疲労」と名付けました。

食事で糖質を摂ると血糖値が上がります。正常な範囲であれば問題ありませんが、血糖値が140mg/dLを超えるような「食後高血糖」が起こると、体はそれを急いで下げようとして大量のインスリンを分泌します。その結果、今度は血糖値が食前よりも低い水準まで急降下する。この血糖値の乱高下が「血糖値スパイク」です。

【図表】血糖値スパイクとは?

血糖値が急降下していく過程で、脳は「このまま下がり続けたら低血糖で動けなくなる」と危機感を覚え、「休め」「動くな」という指令を出します。これが、あの耐えがたい眠気の正体です。人によっては、眠気ではなく強い空腹感として表れることもあります。結果として不要な食事を摂ってしまい、肥満の悪循環へと入っていくのです。

日本人は、欧米人に比べてこの食後高血糖を起こしやすい体質を持っています。理由はインスリンの分泌能力の差にあります。欧米の白人や黒人は、インスリンを大量に、しかもスピーディに分泌することができます。その能力は、我々黄色人種の数倍に達します。だから欧米には体重が200キログラムを超えるような超肥満の人が存在するのです。インスリンが大量に出るので血糖値は上がりにくい代わりに、大量のエネルギーが体脂肪に送り込まれるので際限なく太ることができてしまう。

一方、日本人を含む黄色人種はインスリンの分泌が遅く、量もずっと少ない傾向にあります。血糖値が上がってからインスリンが遅れて出てくるので、まず血糖値がドカンと上がり、その後に急降下する。典型的な血糖値スパイクのパターンです。

そして、血糖値スパイクの悪影響は疲労感や肥満、糖尿病のリスク増だけではありません。後述しますが、さまざまな「体の老い」を引き起こします。昼食後の眠気は「老化の黄色信号」と言ってもいいでしょう。

40歳以上の3人に2人は「隠れ食後高血糖」

食後高血糖の厄介なところは、通常の健康診断ではまず見つからないことです。健診で測る血糖値は空腹時のもので、食後の血糖値は測りません。空腹時血糖が正常であっても、食後に200mg/dLを超えている――つまり糖尿病の診断基準を満たしている――という人は、実はかなりの数に上ります。

中国で実施された大規模調査では、成人の2人に1人が食後高血糖に該当するというデータが出ています。同じ黄色人種である日本人にもこの傾向は当てはまると私は考えています。

実際に私が湯河原で行った調査では、健診を受けている40〜50代の町民21人に持続血糖測定器(CGM)をつけてもらったところ、全員が食後血糖異常を示し、21人中14人が糖尿病の診断基準を満たしていました。もちろん、ヘビーな糖質を摂ったときのデータではありますが、140mg/dLを超えている以上、高血糖には違いありません。程度の差こそあれ、糖質疲労の状態は相当広く存在しているはずです。

目安としては、おにぎり2個――特別な大盛りではなく、ごく一般的な昼食程度の糖質量――で多くの人の血糖値が140mg/dLを超え、200mg/dLに達する場合も珍しくありません。40歳以上であれば3人に2人は食後高血糖、というのが私の体感です。

(構成=本誌編集部)