CMが「ACジャパン」ばかりになった
フジテレビ社長の港浩一氏が緊急記者会見を開いた。中居正広氏が女性との間に「トラブルがあったことは事実」と認め、この二人を引き合わせる場をセッティングしたのがフジテレビの社員であると一部の週刊誌で報じられたことを受けたものだ。
その直後から、花王やトヨタ、日産自動車などの大手スポンサーが次々と自社のCMをACジャパンのものに差し替えたり、CM放送を差し止めたりする事態が発生している。新聞報道によると、CMを見直す企業は50社超にのぼるという。
この現象はなぜ起こったのか。
企業側はCM撤退の理由を語ってはいないが、フジテレビの社長会見が原因であることは火を見るよりも明らかだろう。スポンサーは今回の会見でのフジテレビの対応を見て、ガバナンスの乏しさを実感し、「こういう会社にCMを出稿すれば、同じような企業体質だと視聴者に思われかねない」と思ったのではないだろうか。つまり、消費者の「
では、今回の会見のどこがいけなかったのか。
記者会見に参加メディアの選別や映像禁止などの「制限」をかけたことが「閉鎖性」や「隠蔽性」を感じさせ、のっけから印象が悪かった。これは作戦としては完全に失敗だ。港氏は終始「調査委員会に委ねる」を繰り返したが、その「調査委員会」の「客観性」や「透明性」「独自性」が担保されるとは到底思えず、調査の具体的な指針も示されなかった。
「上納システム」を否定しなかった惨めな社長会見
また、中居氏と女性のトラブルを直後に知りながら何の手立ても講じてこなかったことも露見してしまった。肝心な「編成幹部社員の関与」や週刊誌が報道した「恒常的な女性社員の上納システム」の有無に関しては、あいまいな返答しかできなかった。
なぜ、そんな“惨めな”会見になってしまったのか。理由は2つある。
1.会社の幹部に危機感がない
2.上に進言できない企業風土がある
1.の「会社の幹部に危機感がない」だが、いまテレビ局のトップにいる幹部たちはちょうどバブルの時期に“おいしい”思いをしてきた世代だ。その特徴は“イケイケでいい加減”、「自己中の塊」のような人たちである。
そんな人物がいきなりスポンサーや投資ファンドという外圧を受け、慌てふためいて「とりあえず、社長の顔見せで事なきを得よう」と思ったであろうと容易に想像できる。もしかしたら「社長が出向けば、『おー、よく出てきたな』と感心してもらえるに違いない」とまで思っていたかもしれない。要するに「勘違い世代」なのだ。