※本稿は、西崎彩智『人生が変わる 片づけの習慣 片づけられなかった36人のビフォーアフター』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
「女性の幸せは結婚にある」という時代に生きた父
少しだけ私、西崎彩智の人生のビフォーアフターを聞いてください。
私は大阪生まれの岡山育ち。1700グラムで生まれた体の小さな私は、なんでもできる姉と比べて成長がゆっくり。周りの子たちから、童謡「サッちゃん」の「だけど ちっちゃいから~♪」のところを歌ってからかわれたりして、両親は私の将来をとても心配していたそうです。
「女性の幸せは結婚にある」という時代に生きた父は、私の幸せは結婚しかないと思うあまり、家事に関しては厳しくしつけをしました。2歳のときに住んでいた家で、おもちゃの片づけをしないまま寝ていた私は、父に起こされて、おもちゃの片づけをさせられた記憶があります。片づけると父はいっぱいほめてくれました。片づけたら喜んでくれる。その嬉しさは、あのとき幼心に刷り込まれたのかもしれません。
「建築は男の世界」と反対されて…
温かかったけれどちょっと窮屈だった岡山の家を出て、大学は神戸へ。建築学部を志望していましたが、「建築は男の世界」と言う父の反対にあい断念。心理学や教育学、社会学が学べる人間関係学科へ進みました。
建築は諦めても住まいやインテリアの世界に身を置きたくて、大学卒業後はインテリアプランナーとして地元の住宅会社に就職しました。仕事はすごく楽しかったけど、家庭に憧れていた私は24歳のとき6歳年上の男性と結婚して専業主婦に。当時は家事と育児に夢中でした。目が届きすぎるくらい子どもと関われる毎日は幸せでした。とはいえ、誰もほめてくれないのが主婦業です。ふと「自分には何もない感」に引きずり込まれる瞬間がありました。でもその頃は自分の将来を見ないフリをしていました。
そのころ唯一、自信を持てたのが毎日普通にやっていた片づけ。ママ友が家に来たとき、「片づいて気持ちのいい部屋だね」とほめられたのがすごく響きました。ママ友や子どもの友だちが集まれる部屋を作ることが、趣味のようになっていきました。
ここまでがいわば私の人生の「ビフォー」です。そんな穏やかな生活は、結婚20年目に強制終了。夫がリストラにあってしまったのです。