北米で急拡大、ユニクロの「3倍出店」戦略が描く未来
ファーストリテイリングが今年初頭に発表した2024年9~11月期の連結決算は、記録的な伸びとなった。日経新聞の報道によれば、純利益は前年同期比22%増の1319億円に達し、この期間としては2年連続で最高益となっている。営業利益も7%増の1575億円、売上収益は前年同期比10%増の8951億円と好調だ。
とりわけ北米と欧州の事業が伸びており、欧州で売上収益が前年同期比42%の大幅増となったほか、北米市場でも17%増の680億円と二桁成長を記録した。国際アパレル業界誌のジャスト・スタイルはこのうち北米について、新規店舗の開設効果が牽引したと分析。ファーストリテイリングが北米市場を「成長の重要な原動力」と位置づけているとも報じている。
米CNBCによると、アメリカにおけるユニクロの店舗数は2024年10月時点で69店店舗だが、2027年までに約3倍の200店舗まで増やす計画だ。
逆風市場でも躍進、“機能と価格”のバランスの妙
ファッション業界全体が厳しい状況に陥るいま、ファーストリテイリングの好調が際立つ。米ファストファッションチェーンの「フォーエバー21」は2025年3月、2度目となる破産手続きに入った。ロイター通信などが報じているように、現在同社は全米約350店舗で在庫処分セールを展開中だ。同社は2019年にも破産申請を行っている。
英フィナンシャル・タイムズ紙によると、中国系ファストファッション大手「シーイン(Shein)」の2024年純利益は前年から約40%減少し、10億ドル(約1500億円)にとどまった。
業界のこうした苦戦をよそに、ファーストリテイリングは業績を向上させている。そのパワーの源は、他社と一線を画すビジネスモデルと商品開発手法にある。
米ビジネス・インサイダー誌は、厳しい市場環境下でのユニクロ躍進の理由について考察している。同誌によると、ユニクロの成功の原動力は、「ベーシックな機能性衣料に注力しており、競合企業が展開しているような、ファッションショーの最新デザインを頻繁に取り入れるような手法に乗らない」という独自路線にあるという。