一浪した大学での一目惚れ
関東地方在住の設楽完事さん(仮名・50代)は、千葉県で生まれた。
子どもの頃から明るく、誰とでも仲良くなれる性格の設楽さんは、一浪して都内の大学に入学。一人暮らしを始めると、毎晩のように同級生の部屋に集まっては、飲み慣れないお酒を飲んではしゃいでいた。
そんなある日、たまに参加する仲間の一人が、
「今度俺の彼女を連れて来るよ。彼女の友達も何人か誘うし、ご飯でも作ってもらおうよ。どう?」
と提案。設楽さんを含め、仲間たちは両手をあげて喜んだ。
その当日、設楽さんは飲み会のために講義をサボり、買い出しに行こうと部屋を出た。
すると見知らぬ女性がちょうど階段を上がってきて、
「あ、こんにちは。1年の○○です。今日の会場はこちらですか? 今日は美味しいもの作りますね!」
と言い、頷く設楽さんの目を見ながら微笑む。
「私は一瞬ドキッとし、まるで胸を撃ち抜かれたようでした。あまりに可愛い容姿と笑顔に、私は完全にやられたと思いました。それが紛れもない私にとっての初めての一目惚れでした」
ところが、その女性は、その日の飲み会を企画した仲間の彼女だった。諦められなかった設楽さんは、最初はダメもとで告白し、案の定振られる。それでも諦められず、また告白。
次第に、仲間からも女性からも気味悪がられ始めるが、お構いなしにアタックし続けていると、だんだん面白がられるようになっていく。
「8カ月にわたり100回以上、告白し続けました。同じクラスでもあり、友だちみたいな感じで頻繁に顔を合わせていたので、ところ構わず告白しては、『そこで言う? 無理無理』と言って笑われたり、『ゴリラみたいで一緒に歩くのが恥ずかしいから嫌』『付き合ってると思われたら迷惑だから寄らないで』と冷たく拒絶されたり、ずっと散々でした」
しかし告白し始めてから8カ月後、設楽さんが付きまといすぎたせいで彼氏は離れて行き、女性はフリーになった。そこで設楽さんは
「1週間のお試しでいいから!」
と懇願。すると、女性は渋々承諾してくれた。その後、1週間の終わりには「追加であと1週間!」と延長をし続け、結果、大学の卒業式に入籍を果たした。