「生活習慣の改善」は後からでも叶う
小学生の子どもを持つ親御さんから、よく以下のような相談をいただきます。
「子どもが早起きしない」
「時間ギリギリまで準備をしない」
「散らかった部屋を片づけない」
「家の手伝いをしてくれない」
たしかに毎日のように「早く起きなさい!」「部屋を片づけなさい!」と、子に繰り返すことは親にとって大きなストレスになっています。
ただ、アメリカ心理学会の調査レポートによれば、例えば仕事で早く起きる必要があるといった明確な動機づけがある場合、大人になってからでも習慣の改善は可能であることが分かっています。
今、目の前の子どもが早起きや片付けができないことが、将来の大きな問題につながる可能性は高くないということです。
科学的根拠に基づく「本当に必要なしつけ」
「子どもが早起きしない」「片づけをしてくれない」と親がイライラする理由の一つに、「自分のスケジュールを乱されたくない」という思いがある場合は少なくありません。朝、子どもを起こすのに手間取ると自分の出勤時間に影響が出ますし、部屋が散らかっていれば親が片づける手間が増えてしまいます。
こうした状況を回避したいがために、ついガミガミ言ってしまうわけです。
しかし、オックスフォード大学とハーバード大学の研究者らによる過去30年間の研究を基に分析した結果、思春期前後の子どもは体内時計が1~3時間程度後ろにずれることが分かっており、成長とともにホルモンが安定することで、体内時計が徐々に「朝型」に戻っていくと報告されています。
部屋の片づけに関しても、大学生や社会人になってから「だらしなく見えるのは損だ」「恥ずかしい」と気づき、急に整頓好きになるケースは意外と珍しくありません。
もちろん、早寝早起きや整理整頓、家の手伝いを習慣化することが非常に有益であることは間違いありません。しかし、後述する近年の研究からは、もっと優先すべきしつけがあることがわかっています。科学的根拠を交えながら解説していきます。