「信用こそが人生を左右する」研究データが示す真実
ビジネスや社会活動の場面で繰り返し語られてきた「信用の重要性」を、実験的に裏づける研究はいくつも存在します。
たとえば、イギリスのダラム大学ビジネススクールの研究者らによる691人を対象とした3つの研究を分析した論文があります。このなかで「信頼できるリーダーや組織に属していると、従業員は仕事へのモチベーションを高め、組織の目標達成に向けて積極的に貢献するようになる」と報告されています。
逆に、リーダーや組織が不誠実な行動をとると、従業員の行動規範が曖昧になり、組織への不信感や不満を募らせることでパフォーマンスが低下する傾向が強いというのです。
また、社会心理学の“初頭効果”では、最初の印象がその後の評価に大きく影響することを示唆しています。
初対面のあいさつで、「この人は礼儀正しくて信用できそうだ」という印象があれば、その後の言動についても肯定的な解釈をしてもらえる可能性が高まります。反対に、最初に失礼な態度をとったり不誠実な言動をしたりすると、後からどれほど優れた成果を出しても、なかなか信用を取り戻せないのが現実なのです。
つまり、子どものうちに「礼儀」「正直さ」「思いやり」といった人格要素を身につけているかどうかが、将来の人間関係やビジネスでの成果を左右する鍵になるわけです。
部屋の片づけや手伝いは後から取り戻せても、失った信用や大人になるまでに身につけなかった社会性を後から補うことは、想像以上に難しいのです。