ダイエットを頑張ろうと思っても、なかなか運動を継続できないのはなぜなのか。『お米を食べるダイエット』を提唱し、1年で12kgの減量に成功した医師・梅岡比俊さんは「初めから高い目標を掲げてしまうと挫折しやすくなってしまう。1日15分の運動でもいいから、目標をクリアしたときの『達成感』を味わえるように目標設定を低くするといい」という──。

※本稿は、梅岡比俊『医者が教える最高のやせ方 科学的に正しいお腹いっぱい食べられるダイエット法』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

スポーツウェアを着た若い日本人男性
写真=iStock.com/west
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運動すると暴飲暴食しなくなる

食事だけのダイエットよりも、食事と運動、両面でダイエットを同時に行うほうが効果的なのは、言うまでもありません。

アメリカやドイツの調査では、体重が増える原因のトップは「身体活動量が少ないこと=運動不足」で、次に「摂取カロリーの過剰」が続きますから、肥満の原因としては、むしろ食生活より運動不足のほうが影響が大きいのです。運動により消費エネルギーが増え、余分な体脂肪が減ることでダイエットにつながります。ここまではよく知られていますが、それだけではありません。

アメリカの栄養・生理学者ジョン・マイヤー博士のおもしろい研究をご紹介します。

小さなケージに入れて運動不足の状態にさせたラットと、1日に1時間以上の運動をさせたラットを、どちらも自由に餌を食べられる環境に置いて食欲を比較したところ、運動不足のラットのほうが9%多く餌を食べたという結果が出ました。体重も増えていたそうです。

一方、毎日運動していたラットたちは、好きなだけ餌を食べられる環境にあっても食べすぎることはなく、体重はまったく変わらなかったそうです。動物実験のレベルですが、この結果は「適度な運動をすると食欲が安定し、暴飲暴食しなくなるので太らない」可能性が高いことを示しています。

運動後30~40分以内に食事を摂るといい

「運動をするとお腹が空くので、食べすぎてしまうのでは?」と思っていた方もいるかもしれませんが、それは間違いです。運動中は自律神経の交感神経系が優位になり、食欲を抑制するホルモンが分泌されることがわかっています。またこのホルモンの分泌は運動中から始まり、運動後30〜40分すぎるくらいまで続きます。

活発に活動しているときにお腹が空いては活動に支障が出るので、ある程度状況が落ち着くまでは、空腹感を感じないようになっているわけです。太古の狩猟採集の時代に獲物を追いかけている状況や、凶暴な肉食獣から逃げているような場面を想像していただければ、納得感がある話ではないでしょうか。

この食欲抑制ホルモンの分泌によって、運動をすると、直後にはそもそもあまり食べたい欲求が生まれなくなります。そのため、食事量のコントロールの面でも、運動の習慣をつけることは有効なのです。

私は「お米を食べるダイエット」を提唱していますが、いくら身体によいお米であっても、当然ながら食べすぎては太ってしまいます。「つい食べすぎてしまう」という人は、食欲抑制ホルモンが分泌されていて、食べすぎの心配が少ない運動後30〜40分以内に食事を摂るようにすることも一案でしょう。

〈ここがポイント〉
運動をすると、その後しばらくは食欲が抑制される。つい食べすぎてしまう人は、この性質を利用するといい。