「あなたはダメな子ね」が生み出す子供の嘘

こうした“社会性”を育むうえで注意したいのが、子どもを強く否定しすぎるアプローチです。

「あなたはダメな子ね」「嘘をつくなんて最低だね」など、人格そのものを否定する表現を繰り返すと、子どもは「自分は価値のない人間だ」というセルフイメージを形成しやすくなります。

特に思春期以前の子どもは、親や教師などの身近な大人の言葉を自分のセルフイメージとして取り込みやすいので注意が必要です。否定的な言葉を浴びすぎると、失敗を恐れるあまり嘘で隠そうとするといった悪循環に陥ることもあります。

子どもに改善させたい何かがある場合、「あなたはここが良くない」とダメ出し的な指摘をするのではなく、「こうすればもっと良くなるんじゃない?」「こういう状態をつくるにはどうすればいいと思う?」という質問を交えた伝え方が効果的です。

親として伝えたい思いが同じでも「行動に問題がある」というメッセージと「あなたはダメな人間だ」のような「アイデンティティを否定する」メッセージでは、子どもの自己肯定感に与える影響が全く違います。

オランダのライデン大学による1116組の親子を対象にした10年以上にわたる大規模な研究でも、しつけの場面で“行動”への具体的フィードバックと“子どもの存在価値”をきちんと区別することが、子どもの自己肯定感を守りながら社会性を伸ばすカギになることがわかっています。