「取引先との会合に利用されていた」という事実
フジテレビ・中居正広問題で、第三者委員会による報告書が発表された。依然、スポンサーは戻ってこず、混乱は続いている。さまざまなところで言及されている通り、中居正広やフジテレビ社員の行動、そしてその後の対応は醜悪というほかない。
しかし、この問題は本当にフジテレビと中居正広だけが悪いものなのだろうか? “テレビ局とタレントという特殊な世界で起きた特殊な出来事”と割り切ってしまっていいのだろうか?
フジテレビの第三者委員会の報告書では「社員・アナウンサーらが、取引先との会合において、性別・年齢・容姿などに着目され、取引先との良好な関係を築くために利用されていた実態はあった」と記載されている。これは、テレビ局以外の会社で働いていても心当たりのある事案ではないだろうか。
フジテレビではタレント・芸能プロダクションやスポンサーとの接待的な飲み会が開催されていたということだが、アンケート形式なこともあってか、具体的な記述や描写は豊富とは言えない。そこで、筆者の独自取材も交えながら、女性アナウンサーを接待要員として扱うような会合について考えてみたい。女性アナウンサーとスポンサーとの飲み会についてのケースを2つ紹介しよう。
「お前の彼女、女子アナなんだから連れてこいよ」
キー局に勤める20代の女性アナウンサーは、スポンサーとの飲み会に来るように、上層部から何度となく誘われたという。最初は、断れず参加していたが、徐々にそういった飲み会で、相手方の男性にお酒をついだり、つまらない話に過度なリアクションをしたりしなければいけないことに嫌気がさし、断るようになっていったという。すると、徐々に自分の担当番組が減少。アナウンサーが目立ついわゆる“おいしい”番組は外され、目立たない番組がメインになっていったという。
次は、地方局の20代の女性アナウンサーの例である。彼女は、系列のキー局の営業職の男性と交際していた。その男性と会うために、忙しい毎日の合間を縫って東京に来ると「スポンサーとの飲み会が入ってしまった。ウチの女子アナが来られないから代わりに来て」と言われ、参加。自局ではないので必然性はないにもかかわらず、スポンサーの男性陣は“そこに女子アナがいる”ということに満足して帰っていったという。
男性は上司からの「お前の彼女、女子アナなんだから連れてこいよ」という指示があったと弁解したが、このようなことが数回起こり、女性側が彼氏に嫌気が差し、2人は破局することになった。