※本稿は、江村出『仕事を上手に圧縮する方法 仕事時間を1/5にして圧倒的な成果を上げたITコンサル流 仕事の基本』(日経BP)の一部を再編集したものです。
70点や80点のアウトプットは必要ない
みなさんは普段、「仕事のデキ」について、100点満点のうち、どれくらいを目指していますか? 多くの方は、学校のテストと同じ70点や80点を合格ラインと考え、7~8割できあがった状態で1回レビューを受けて、完成させようとしているのではないでしょうか?
多くのビジネス書では「100点でなく80点でよい」「70点でも十分」などと紹介されていますが、実はこの発想をしている限り、仕事のスピードは上がりません。
この考えが通用するのは、「答えがある程度決まっていること」に対応する場合です。しかし、みなさんの日々の仕事では、答えの決まっていない課題に立ち向かわなければならないことも多いでしょう。
そうした「何度もレビューを繰り返すことが想定されるケース」では、初回のレビューから70点や80点のアウトプットを期待されるということはありません。
まずは半分以下の点数で構いません。初回であれば40点でもよいので、とにかくスピード重視でレビューに持っていくべきです。
この話を、レビュワーの立場から考えてみると、なぜ40点でもスピード重視がいいのかが見えてきます。
レビュワーとしては、複数回のレビューが想定される答えの決まっていない課題について、いきなり完璧に近いものが出されるとは思っていないはずです。となれば、まず不安になるのは、「どんなアウトプットが出てくるのかの想像すらできないこと」ではないでしょうか。まったく方向性が違っていたら、イチから軌道修正をしなければなりません。
指示を出した側としては「凝らなくていいので、まずは早く出してほしい」「流れをいったんつくってみてほしい」と考えるものです。初回のレビューでほしいのは、一緒に検討するための土台なのです。

上司は「チームで成果を出すこと」を考えている
もうひとつ、40点でも早く出したほうがいい理由があります。
それは、上司がほとんどのケースで、「チームとして成果を上げるために動いている」ということです。
任された側からすると、「依頼されたからには、自分でやりきろう」と意気込みたくもなりますが、しかしそもそもその依頼が、あなた一人で完璧に仕上げてもらうことを期待してのものとは限りません。他のメンバーの知恵や、様々な視点や角度から見た意見も取り入れた「よりよいアウトプット」こそが、上司の最大の期待なのです。
ですから、あなたが詳しく知らない分野は周りにサポートしてもらおうと割り切って、あまり肩肘を張らずにドラフトの案をつくりましょう。
「この理論武装のために情報が必要です」
「具体例がほしいので経験者の知恵を借りたいです」
と頼りたいポイントを明確に示すことができれば、快くチームのメンバーの手を借りることができるでしょう。チーム全体で高得点をとるためにも、やはりスピード重視が鉄則です。