Step1 自分の心が傷つくメカニズムを知る
なぜ「些細な一言」にモヤモヤするのか

「傷つき」の正体は「怒り」だった

誰かの一言に、思いがけず深く傷つく。そんな自分を、繊細だから、気が弱いからと感じている人は多いでしょう。けれど、その「傷ついた」という感覚の下には、多くの場合、別のものが隠れています。

それは、「怒り」です。

自分では傷ついたと思っているけれど、実は腹を立てている――そこに気づくことが「イヤな一言」に反応しないための、とても重要な一歩です。

多くの人は、「傷つく」と「怒る」を別のものとして捉えているはずです。「傷つく」は受け身、「怒る」は能動的な感情として、真逆のものだと考えているのではないでしょうか。だから、傷ついたという心の奥底に怒りがあることに気づきにくいのです。

その怒りも、「不甲斐ない自分に怒っています」みたいな、悟り切った僧侶のような話であることは比較的稀で、たいていは「相手」に対して怒っているわけです。ところが、相手の立場が上だったり、これからも付き合いを続けなくてはならなかったりすると、その怒りを表に出すことができません。そのやり場のない不全感を処理するために、「自分は傷ついていた」という言葉でまとめてしまうのです。

しかし、怒っていることを相手に何らかの形で伝えないままだと、相手も変わりません。そうなれば、常に怒りを抱えっぱなしになり、それはいつしか「自分の人生は変わらない」という人生観につながります。そこでは「人生は自分で変えられるものだ」という発想が生まれにくいので、「人生が変わらないのは社会が悪いせいだ」という怒りまで生む。この負の循環で、永遠に怒り続けている人はとても多いのです。かなり簡略化した説明にはなりますが、これが「傷つきやすい人」のメカニズムの代表的なものです。

【図表】「傷つき」の正体

自己イメージは、本当の性格とは大違い

こうしたメカニズムを知って、「傷つき」の根っこにある「怒り」の存在を一度、二度、三度と確認していくうちに、人生は大きく変わると私は思います。というのも「自分は実はひどく怒りっぽいのだ」という可能性に気づくからです。傷つきやすい=「心が弱い」とか「しおらしい」などと自分で思い込んでいた性格とは、かなり違う側面があるということですね。それを認識することから、「傷つき」を脱する道が開けます。

もっとも、ここで「自分は怒りっぽいのだ」と性格診断的にまとめてしまうと、また手詰まりになってしまうので注意が必要です。問題が大きすぎて、どこから手をつけてよいかわからなくなってしまうからです。

私自身、『瞬間の心理学』という本では、その瞬間の怒りを振り払う方法なども解説していますが、いわゆる「アンガーマネジメント」については、意外に難易度が高い面もあります。まして怒りを完璧に抑え込むなどという大それたことは、人間には難しい。

それよりも、心理学的には「100%具体的に考える」のが問題解決の糸口になると思います。例えば、表面的には仲良くしていて付き合いも深いのに、なぜかいつも相手にイライラさせられているーーといったとき、その特定の相手との人間関係においてイライラしないためにはどうすればいいか考えるのです。そこに具体的な解決策をひとつ見いだせれば、それを100の人間関係に応用できます。この考え方については、次で具体的にお伝えしていきたいと思います。

(構成=本誌編集部)