世界に進出する日本の日焼け止め
「オーストラリアで試したどの製品よりも、ずっと良いんです」
2012年に日本に移住したというYouTuberのハンナ・プライスさんは、初めて日本の日焼け止めを使ったときの感想をAFPに語った。母国の製品が「重く、ベタつき、油っぽかった」のに対し、日本のものは塗った瞬間から質感が違うという。
この違いを伝えようと日豪の比較動画を作り始めた彼女は、実際にビーチへ赴いてテストを行ったほか、SPF値(日焼けや炎症の原因となるUVBを防ぐ指標)の算出方法や成分の規制などを本格的に検証した。1年を費やした調査の甲斐あって、公開した動画の再生回数は2年間で300万回を超えた。
欧米では日焼け止めが皮膚がん防止のヘルスケア商品と認識される一方、日本ではシミ予防やアンチエイジングの観点から日常的に広く使われている。そのため、UVカットの性能だけでなく、常用に耐える軽やかな製品が進化した、と彼女は分析する。
世界市場でも注目を集めており、AFPによると、花王の「ビオレ UV」は日焼け止め売上高で世界10位、アジアに限れば2位に入る。近年では、K-ビューティー(韓国発のスキンケア製品)で世界を席巻する韓国にも進出した。
一方、アメリカでは、すでに日本や欧州で使われてきた成分が今年6月、27年ぶりの新規有効成分として解禁された。ライトなタッチの使いやすさで一日の長がある日本ブランドだが、アメリカでも新成分の解禁を機に製品開発の裾野が広がろうとしている。
季節を問わず売れていく
海外掲示板のレディットでも、日本製を使って驚いたという声が飛び交う。
「日本に行くまで、あっちの日焼け止めがどれだけ上なのか全然知らなかったよ」
「塗りやすくて、しかも私たちが知ってるような『いかにも日焼け止め』っていう(ベタつく)感じが全然しない」
訪日観光客も多く訪れる、東京・渋谷にあるドラッグストアチェーンの「マツキヨココカラ」。店舗では、棚に日焼け止めがずらりと並ぶ。
その数、約90種類。同チェーンの商品統括本部で化粧品を専門とする大槻剛士氏はAFPに、「売り上げは年々伸びています」と語る。かつて主な客層は女性だったが、今は男性客や訪日観光客も目立つ。日焼け止めは、季節を問わず売れていくという。
日本では、なぜ日焼け止めへの関心が高いのか。歴史的にも6世紀ごろから色白の肌を重んじる文化があったが、1990年代に入ると、日焼けを避けて白い肌を維持する「美白」がブームになった。
今では日本では女性に限らず、シミや肌の老化を防ぐために日焼け止めを塗る習慣が広がっている。

