日焼け止めで売上高350億円を目指す

2023年4月、イギリス。ドラッグストア「スーパードラッグ」の棚に、花王が欧州で初めて発売したUV防御機能付きフェイスケア製品「ビオレ UV アクアリッチ」が並んだ。

オランダ・ファッション業界専門メディアのファッション・ユナイテッドによると、同じ週にドイツ、オーストリア、スイスの一部小売店でも発売されている。

1996年発売の「ビオレ UV」は日本市場で改良を重ね、2025年2月時点で27の国と地域に展開する。2026年3月現在、ブランド全体では66の国と地域で販売されていることを考えれば、日焼け止めが届く市場はその半数に満たない。

花王は、高付加価値製品で特定分野のトップを狙う「グローバル・シャープ・トップ」戦略の中核に「ビオレ」を据える。2027年までに日焼け止めの売上高を350億円とする目標は、2023年の売上高の1.6倍にあたるとAFPは伝える。インドネシア、ブラジル、ドイツに新工場を開設し、海外生産を強化する計画だ。

紫外線を確実に遮りつつ、日本の消費者が求める滑らかな塗り心地も両立させなければならない。花王でスキンケア製品の研究開発を統括する福井崇氏は、科学的な知見を駆使してこの難しいバランスを実現している点こそが「欧米のメーカーとの違い」だと強調する。

花王の日焼け止めブランド「ビオレ UV」=2025年4月9日
写真=AFP/時事通信フォト
花王の日焼け止めブランド「ビオレ UV」=2025年4月9日

コスメの本場・韓国で勝負に出る

品質の高いコスメが集まる韓国でも、花王は攻勢をかける。

今年3月19日、ソウル・聖水洞(ソンスドン)。古い工場や倉庫がカフェやショップへと姿を変え、ブランドのポップアップストアが集まる「聖地」として知られるこの街に、世界中のインフルエンサーが集まった。花王が主催する「YOUR ONE AND ONLY. ビオレ グローバルブランドイベント」のイベントであり、ビオレの韓国市場参入を記念する場だ。

イメージキャラクターに起用したのは、韓国発のグローバルスター「Stray Kids(ストレイキッズ)」。アンバサダー就任は2年連続で、「SUNLIGHT IS YOUR SPOTLIGHT(日差しはあなたのスポットライト)」を掲げるキャンペーンは15カ国・地域以上で同時に展開されている。

なぜ韓国市場に参入したのか。花王はプレスリリースで、韓国が美容業界において大きな影響力を持ち、日焼け止め市場も世界最大級であるためだと説明する。

その影響力は国境を越える。AP通信によると、市場調査会社ユーロモニターのデータでは、2024年、韓国はアメリカへ化粧品・スキンケアの出荷量で首位に立ち、フランスがこれに続いた。花王も、韓国を世界のトレンドと消費者基準を生む重要なハブと位置づけている。

花王の戦略は、この地で技術力への信頼を勝ち取り、アジア、そして世界へと事業を広げることにある。