マンション購入時に確認すべき点はどこか。「不動産Gメン」として情報発信している滝島一統さんは「多くのマンションでは理事会の議論が見えにくく、住民が気づいたときには方針が決まっている。問題は意思決定の構造にある」という――。(第1回)

※本稿は、滝島一統『その家、買ってはいけない』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

高層住宅のマンション
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分厚い管理規約、読んでいますか?

修繕積立金の問題も、配管の問題も、エレベーターの問題も、すべては管理組合という組織を通じて処理される。しかしこの管理組合の実態を、購入前に詳しく調べる人はほとんどいない。管理組合とはマンションを運営する組織で、毎月住民から集める管理費を原資に動き、修繕積立金を管理する。

150戸のマンションで月に修繕積立金2万円を徴収すれば、年間3600万円規模の予算になる。理事というのはその予算と方針をすべて管理する立場であり、固定された理事会メンバーが自分たちに都合のいい運営を続けているところも珍しくない。ところが多くの住民は管理組合に無関心で、町内の自治会のような感覚で捉えている。

「修繕について話し合うから集まってください」という案内が来ても、面倒だからと欠席する。平日の昼間に開催されることも多く、仕事が忙しい30代・40代の人間が参加するのは難しい。200~300戸ほどのマンションでも、理事会に積極的に関わるのは5~10人程度だ。その限られた人たちが、数百人の住民全員の資産の方向性を決めてしまう。問題をさらに深刻にしているのが、管理規約の空白だ。

「管理規約」はマンションの運営に関わる重要な書類だが、購入する人のほとんどは読まない。間取りと設備と金額は念入りにチェックしたとしても、管理規約は分厚い冊子で専門用語も多く、買ったらそのままファイルに入れて保管することが多い。

知らない間に値上げされる「修繕積立金」

ところがこの管理規約に、理事長の選任方法や任期についての規定がないケースが多くある。規定がなければ、理事長を選ぶのは現理事長だ。同じ人物が何十年も理事長を務め続けることが現実に起きている。理事の選出も規定がなければ理事長が選ぶことになり、理事会は仲間内で固められていく。

新しい住民が理事会に加わろうとしても、長年の固定メンバーの前では物理的にも心理的にも入り込めない。反対意見が出ることはほとんどなく、「今度、修繕積立金を上げます。賛成の人は……、はい、決議終了」という形で、住民が知らないうちに物事が決まっていく。

なぜ突然通知が届くのか――それは、理事会の構造上、一般住民には事前に情報が届かないからだ。修繕積立金の値上げは、仲間で固めた理事会の中では紛糾しないまま決まり、結果だけが住民に通知される。「金額が適正かどうかもわからない」というのが多くの住民の正直な実感だろう。理事会が「ブラックボックス状態」になっているマンションも決して珍しくないのだ。

こうした構造の中で、理事長の立場を私的に利用するケースが起きる。理事長は管理組合の個人情報にアクセスできる立場だ。修繕積立金を滞納している住民も把握している。その情報を自分の利益のために活用することもできてしまう。