お父さん世代の「休日の服装」をめぐり、SNSの投稿が賛否を集めている。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「ボディーバッグを揶揄する意見が散見されるが、気にせず堂々としていればいい。『中年男性』が安全に攻撃できる対象として消費される社会は、健全とは言えない」という――。
イオン札幌店
写真=iStock.com/winhorse
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なぜ「休日イオンモールおじさん」が嫌われるのか

誰も、休日のイオンモールでの男性の服装になど興味を持っていないのではないか。というより、そんなテーマについて、誰も考えたことすらなかったのではないか。

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それなのに、先日、X(旧ツイッター)で、生成AIで描かれた、縦型のボディーバッグを身につけた中年男性の画像が、「地方の田舎のイオンモールでよく見かけるこういう格好の人本当に嫌い」という文言とともに投稿され、話題を集めた。

その直後に、プレジデントオンラインでも〈「ボディーバッグ」より評判が悪い…休日のイオンで見かける一発で「だらしないお父さん」になるNGアイテム〉という記事が多くの読者に読まれたようだ。

他方で、この記事が掲載されたヤフーニュースのコメント欄には「誰にも迷惑をかけていないのに、なぜそんなことを言われなきゃいけないんだ」といった声が、少なからず寄せられていた。

暴力を振るったわけでも、不祥事を起こしたわけでもない。休みの日に、便利だと当人たちは愛用しているボディーバッグをかけて、家族とイオンに出かけているだけである。それなのに、なぜ「中年男性=カジュアルに叩いていい」という空気が、これほどまでに共有されているのだろうか。

「中年男性=叩いていい」という空気

理由のひとつは、中年男性だから、だろう。ことば遊びをしているのではない。「中年男性」というカテゴリーが、安全に揶揄できる対象として消費されやすいからである。

若い男性なら「さわやかさ」とか「あどけなさ」といった、未熟さゆえの安心感を与えられる。あるいは高齢男性なら、時に頑迷さの象徴になりかねないものの、それでも、体力をはじめとして、もはや恐れの対象にはなりにくい。中年男性は、この両者の中間に位置するがゆえに、とかく警戒されやすく、そして、その警戒心の裏表として、攻撃の的になりやすいのではないか。

若いころほど流行に敏感ではなくなり、かといって、年寄りほどには開き直れない。そんな宙ぶらりんであるがゆえに、時として知ったかぶりをしがちになる。上に挙げた「休日のイオン」での身なりにしても、若者ほどのセンスもなければ、高齢者ほどの定番でもない。どっちつかずのだらしなさが、叩かれる要因になる。

すると、中年男性は叩いても仕返しをしてこない、安全なサンドバッグだと認定されやすいのではないか。女性をはじめとした、これまで社会のなかで少数派に置かれてきた人たちを叩けば、かえってさらなる批判を浴びかねない。しかし、中年男性は、いまも昔も多数派であり、叩かれてしかるべき、いや、叩かれなければならない権力者の側とみなされている。

中年男性は「権力者」と見なされる一方、個人としては弱い。そうしたいろいろな要素が重なり、「中年男性=カジュアルに叩いていい」とされているのではないか。