地震や津波による直接的な被害からは免れたものの、過酷な避難生活や医療資源の不足などで失われる命がある。7月28日に発生した熊本地震でも、車内避難していた70代女性が亡くなった。なぜ災害関連死は防げないのか。『最期の声 ドキュメント災害関連死』著者の山川徹さんは「日本の災害支援には決定的に欠けている考え方がある」という――。
災害関連死は決して例外的な死ではない
この既視感に、幾度おそわれただろうか。
2016年4月19日。熊本地震発災直後から被災地を取材していた私は、本震から3日後の『熊本日日新聞』を手に取った。
〈避難女性 関連死か〉
一面の見出しを見た瞬間、また救えるはずの命が失われてしまったと感じた。
なぜ大災害を生き延びた人の命が、その後失われてしまうのか。
熊本地震から5日後の2026年8月2日。車中避難をしていた70代の女性が、熱中症で亡くなったとメディアが一斉に報じた。クルマのガソリンが切れ、エアコンは停止していたという。
報道に触れた私は、思った。
また災害関連死を防げなかったのか――。
家屋倒壊による圧死や、火災による焼死、津波による溺死などの「直接死」に対し、避難生活で持病が悪化して死期を早めたり、心身に不調をきたして自ら命を絶ったりするケースを「災害関連死」と呼ぶ。
阪神・淡路大震災以降、自然災害で亡くなった人は約3万人に上る。対して災害関連死者は、約5500人。全体の18%強を占める。災害関連死は、決して例外的な死ではない。

