※本稿は、新井亨『トップ1%の富裕層が子どもに伝える 世界一のお金の教育』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
貧乏を引き寄せる“7文字の言葉”
2019年7月、かんぽ生命と日本郵便による保険販売で、18万件以上の不適切契約が発覚し、大きな社会問題になったことを覚えているでしょうか。
具体的には、保険の乗り換えの際に二重払いが発生したり、保障が途切れる空白期間が生じたりして、損失を受ける人がたくさんいました。
「郵便局だから安心」
「おすすめされたから大丈夫」
と詳しい説明を受けないまま契約を任せる顧客と、顧客の「任せたい心理」につけ込んで営業していた販売側の関係が明らかになりました。
「人任せ」の怖さを表している事件です。
華僑をはじめとする世界の富裕層は、「おまかせします」という言葉を最も嫌います。任せることは謙虚ではなく、「判断と責任を手放す行為」だからです。他人の意見を参考にすることと、判断を丸投げすることはまったく違います。
考える力を手放した人ほど操作されやすく、失敗しても修正できなくなります。マネーリテラシーを高めるためには、自分が「考える人」と「考えない人」、どちらで生きているかを見直すことが大切です。
「考える人」は、メリットだけでなくリスクまで理解したうえで自分で決断し、修正しながら進みます。
「考えない人」は、他人に任せた挙句、失敗しても「人のせい」にしてしまいます。この差が、長期的に大きな経済格差につながるのです。
「正解を当てる勉強」の功罪
日本の教育では、「正解を当てる勉強」が重視され、「上の人(先生や社長など)の指示通りに動く人」が高く評価されてきました。
「自分で答えを考えて責任を持つ」という教育は、ほとんど受けていません。
その影響から、「どうしたいのか」と聞かれても答えられない大人が少なくないのです。自分の頭で考えない人ほど誰かの意見に流され、結果的に損をします。
投資詐欺のほとんどは、信じた人に「言われた通り」お金を出したケースなのです。実際によくある失敗の多くはこの「おまかせします」から始まります。銀行の窓口で勧められた投資信託を、内容を理解せずに購入してしまう。不動産営業担当や保険営業担当のおすすめをそのまま契約してしまう。
こうしたケースは、後から思っていた商品と違ったと気づくことも少なくありません。しかし、すでに手数料を支払い済みで、解約により損をする状況になっているのです。
つまり、「人任せ」にした瞬間から、自分の資産のコントロール権を失ってしまうのです。
人生の大きな選択である保険、住宅ローン、投資、キャリアを「おすすめされたから決めた」と言う親の姿を、子どもは確実に見ています。それが「自分で判断しなくていい」という誤った学習につながるのです。

