物価が上昇する中、どうやって資産を守ればいいのか。経済評論家の上念司さんは「インフレが起きたとき、最初に動くのは資産価格であり、次に物価、そして最後に動くのが賃金と指摘されている。つまり、給与所得だけに依存している人は一番損することになる」という――。

本稿は、上念司『高市政権は日本経済を救えるか』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

給料日が赤くマークされたカレンダー
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賃金が上がるのはいちばん最後

ここからは視点を一歩進めて、「資産」をどう守るかという問題を考えます。結論から言えば、インフレ時代においては、「資産を持つか、持たないか」が家計の将来を決定的に分けることになります。

まず重要なのは、インフレの波及の順番です。この点について、米国イェール大学の浜田宏一名誉教授は非常に重要な指摘をしています。

金融政策の変更は、まず資産市場に影響し、その後に実体経済へと波及する、というものです。具体的には、金融緩和や財政政策の変更が行われると、最初に動くのは株価、為替、金利といった金融市場です。その後、企業の価格設定や物価に影響が及び、最後に賃金が動きます。

つまり、順番としては、

株・為替・金利 → 物価 → 賃金

となります。

「何もしない人」は損をするだけ

この順序は極めて重要です。なぜなら、同じインフレ環境でも、「どの段階で関与しているか」によって、受け取る恩恵がまったく異なるからです。

金融資産を持っている人は、最初の段階、つまり株価や資産価格の上昇の恩恵を受けます。一方で、給与所得だけに依存している人は、最後に賃金が上がるまで恩恵を受けることができません。しかも、その頃にはすでに物価が上がっているため、実質的な利益は小さくなりがちです。

この構造を理解すると、インフレ時代において「何もしない」という選択が、実は最も不利であることが分かります。現金だけを保有している場合、資産価格の上昇の恩恵を受けることなく、物価上昇の影響だけを受けることになるからです。