レアアースは世界有数中国依存の打開に道筋

私は今年のゴールデンウイークも首相の外遊に同行した。訪問先はベトナムとオーストラリアだ。特にオーストラリアは、日豪友好協力基本条約署名50周年の節目の年にあたり、高市早苗首相とアンソニー・アルバニージー首相の首脳会談は非常に濃い内容となった。議題は、重要鉱物のサプライチェ―ンをめぐる問題や、エネルギー安全保障、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」など世界的にも注目されるものが並んだ。その結果、両首脳による5つの共同文書への署名が行われ、非常に大きな成果があったと感じている。だが、5つの共同文書がどのようなものだったのか知っている人は少ないだろう。題名だけになるが、ご紹介しようと思う。

(1) 経済安全保障協力に関する日豪共同宣言
(2) エネルギー安全保障協力に関する日豪共同声明
(3) 重要鉱物協力強化に関する日豪共同声明
(4) 「日豪戦略的サイバー・パートナーシップ」に関する共同声明
(5) 強化された防衛・安全保障協力に関する首脳声明

私が特に注目すべきだと思ったのは、3番の重要鉱物協力強化についてだ。オーストラリアのレアアース埋蔵量は世界トップクラスで、現状中国に依存している調達先の多角化に向けて注目されている。今回の共同声明においても、「重要鉱物のサプライチェーンが集中していること、及びそれが川下産業に及ぼす影響に対する懸念を共有」と現在の一極集中の問題点が指摘されている。その上で、両国政府が優先的に支援するオーストラリアにおける重要鉱物生産のプロジェクトを6つ特定するなど、レアアース調達の改善への具体的な対策にも踏み込んでいる。

日本国内では、南鳥島周辺の海底に眠るレアアースの採掘へのチャレンジが始まっているが、採掘には水深6000メートルという高いハードルがある。6000メートルといえば、東京タワー約18本分である。コスト面も含めて実用化には時間がかかりそうで、今回、陸上での採掘が可能なオーストラリアとの連携が確認できたことは非常に大きい。

こうした問題は日本の安全保障にとっても、経済にとっても大きなトピックだと思うのだが、帰国後にまとめて読んだ新聞での扱いが小さいことに驚いた。レアアースよりも、高市首相がお土産に持参したメロンや「BABYMETAL」などのレコードが話題になっていたのである。

ちなみに、アルバニージー首相からは、豪州を代表するロックバンド「AC/DC」のサイン入りドラムヘッドとレコードが贈られている。私はロックには疎いのだが、高市首相がロックファンだというのも世界の首脳に浸透してきたようだ。

首脳外交の現場において、首相個人の趣味は意外と大きな影響力がある。例えば、小泉純一郎元首相がエルビス・プレスリーや米国の西部劇の大ファンだったことは当時のジョージ・W・ブッシュ大統領との関係構築に役立ったし、安倍晋三元首相とドナルド・トランプ大統領を結び付けたものの一つに、共通の趣味であるゴルフがある。昨年10月、トランプ大統領が訪日した際、高市首相が安倍元首相の遺品のパターを贈ったことが現在の良好な関係の一因であるのは間違いないだろう。

そうした点を考慮すれば、首脳会談のお土産を政治ニュースとして扱うことがあってもよいのだが、やはり本筋の会談内容もきちんと報道してもらいたい。日本の報道機関は、共同声明の内容の紹介では、読者や視聴者にウケないと考えているだけではないか。

今回の日豪首脳会談にしても、首相官邸や外務省は、報道向けに資料も出し、ホームページでも公表しているのだが、あまり活字にはならず、一般の多くの国民には届いていないのが残念だ。

最近は新聞を読まずにネットニュースで済ませる人が増えているという。ニュースを提供する側からすれば、ネットニュースは1本ごとに読者数(ページビュー)がわかるから、読者の関心にあわせて構成を変えることもできる。一方、読み手の立場からすれば、自分の関心のある分野の記事ばかり読むことになり情報が偏ってしまう。

(写真=時事通信フォト)

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