首相がグランドセイコーの時計を選ぶ理由
前号でイラン戦争の話に触れたが、一般的には、戦争が起こると通貨の価値が変動しやすい。その際に買われるのが安全資産としての「金」だ。金は貴金属としての需要に加えて、電気をよく通すことや、金箔のように非常に薄く延ばすことができるなど、工業素材として替えのきかない特性もあり、常に一定の需要があるといわれている。そのため、戦争が起こったり、政権が不安定になったりした場合は、リスクを減らすための選択肢として金が買われるというわけだ。
田中貴金属のデータを見てみると、今年4月1日時点の金の価格は1グラムあたり2万6645円。5年前の21年4月1日の価格は1グラムあたり6732円だったから、なんと5年間で4倍近く値上がりしたことになる。
昭和のバブル時代には金無垢の時計が流行り、金ピカの時計をつけているビジネスマンもたくさんいた。当時は金の価格も1グラム2000円前後で、金無垢の時計は「贅沢ではあるが、買えなくもない」値段だった。今では地金としての価値だけでも、とんでもない値段になっているだろう。
私も金ピカの時計を持っているが、政治の世界では、当然ながらこうした時計はあまり歓迎されない。単純に政治家が金ピカの時計をつけるのはお金持ちだというアピールになり、有権者からの支持を得にくいということもあるかもしれないが、そもそも話している最中に金ピカの時計が目に入ってしまうと、話に集中してもらえなくなるから、という理由のほうが大きいように思う。
歴代首相の時計を見ても、見た目よりは機能性重視で時計を選んでいる印象が強い。
高市早苗首相がつけているのは、グランドセイコーのSTGF389という、淡いブルーの文字盤のモデルだが、石破茂前首相や安倍晋三元首相もグランドセイコーを身につけている。グランドセイコーの正確性は世界でもトップクラスで、クオーツの誤差は1年間でプラスマイナス10秒以内におさまるという。歴代の首相がグランドセイコーをつけることが多いのは、国産であるだけでなく、正確性を買ってのことではないかと思われる。
ゴージャスな時計をしているのは、私の思いつく限りでは、米国のドナルド・トランプ大統領と麻生太郎自由民主党副総裁くらいだ。
こうして金や、金を使った時計などが値上がりしていると、自宅の押し入れなどを探して売れるものを探す人も多いだろうが、金以外にも「埋蔵金」となりうるものがあるのをご存じだろうか。
「旧030番号」には100万円以上の価値も
それは、「電話番号」である。今の若い人は知らないかもしれないが、携帯電話の前身は、「自動車電話」と呼ばれる、自動車の中から電話がかけられるサービスだった。当時の通話料金や基本料金は、基本料金が月に3万円、通話料金は1分で100円程度と非常に高額で、政治家や法人、一部のお金持ちが利用する立ち位置だった。
その後、最初に登場した携帯電話は「ショルダーホン」という名称で肩掛けカバンのようなデザインをしており、カバン型の巨大なバッテリーの上に受話器が載っているようなデザインをしていた。自動車電話もショルダーホンも1980年代のバブル期には富裕層のステータスの一つだった。それから少しずつ小型化が進み、現代のガラケーのようなタイプも登場し、利用者も増えていったようだ。
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