首相がグランドセイコーの時計を選ぶ理由

前号でイラン戦争の話に触れたが、一般的には、戦争が起こると通貨の価値が変動しやすい。その際に買われるのが安全資産としての「金」だ。金は貴金属としての需要に加えて、電気をよく通すことや、金箔のように非常に薄く延ばすことができるなど、工業素材として替えのきかない特性もあり、常に一定の需要があるといわれている。そのため、戦争が起こったり、政権が不安定になったりした場合は、リスクを減らすための選択肢として金が買われるというわけだ。

田中貴金属のデータを見てみると、今年4月1日時点の金の価格は1グラムあたり2万6645円。5年前の21年4月1日の価格は1グラムあたり6732円だったから、なんと5年間で4倍近く値上がりしたことになる。

昭和のバブル時代には金無垢の時計が流行り、金ピカの時計をつけているビジネスマンもたくさんいた。当時は金の価格も1グラム2000円前後で、金無垢の時計は「贅沢ではあるが、買えなくもない」値段だった。今では地金じがねとしての価値だけでも、とんでもない値段になっているだろう。

(写真=時事通信フォト)