日米首脳会談で見た高市―トランプの真実

世界中が注目した高市早苗首相の日米首脳会談に、私も同行してきた。高市首相はイラン情勢で緊張感が高まる中、米国のドナルト・トランプ大統領が要望した中東への自衛隊艦船派遣を回避しつつ、大統領との信頼関係を深めるという極めて困難なミッションを達成した。「日本国として、できることとできないことがある」とトランプ大統領に説明したという一点だけでも十分な成果だと考えている。

小泉純一郎元首相在任中の2003年に起きたイラク攻撃の際は、米軍に対する燃料補給支援を決断して実施した。当時としては日本の法律の範囲内でできる最大限の貢献で、米側からも国際社会からも高く評価された。しかし、今回のイラン攻撃は、同盟関係にあっても協力するのは難しい。首脳会談において、米側から協力内容の議論に持ち込まれることを避けながら、日本の立場を理解させたことは大きい。

このように私は高く評価すべきだと思ったのだが、日本に帰国して、今回の首脳会談に対する評価が割れているのを知り、意外に感じた。高市首相の「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」という発言については「媚びている」、夕食会での米軍の音楽隊によるX JAPANの曲の演奏に思わず踊った姿の写真には「はしゃぐ姿が恥ずかしい」との批判があるようだ。

しかし、ホワイトハウスでその姿を見た私の印象はかなり違う。高市首相とトランプ大統領が会話する様子は、普通の友人同士のように打ち解けているように見えたのだ。音楽隊に高市首相のお気に入りの曲を演奏させたことも、トランプ大統領が高市首相を旧知の友人のようにもてなそうとする気持ちの表れだと思った。特に、夕食会で首脳2人が座ったテーブルの和やかな雰囲気は、安倍晋三元首相とトランプ大統領の関係を思い起こさせた。安倍首相時代に日米首脳会談が行われたのはいまから約7年前のことだが、あのときのような空気が確かにあった。

もちろん、通訳スタッフも同席していたのだが、通訳が入るすきもないほど、2人の会話が盛り上がっている様子だった。

私がホワイトハウスの夕食会に参加するのは4回目だった。正直に言うと、私はホワイトハウスの料理はあまり好きではない。

外国の首脳を招いての夕食会というと、読者の皆さんはさぞ豪華なフルコースが出てくると想像するかもしれない。しかし、ホワイトハウスにおいては、そんなことはないのである。牛肉のステーキがドーンと出されることが多く、メニューのバリエーションは少ない。ステーキのほかには付け合わせのサラダとパンとスープがある程度だ。メインディッシュのステーキも米国産の牛肉だから、和牛と違ってワイルドで噛み応えがあるタイプの肉なのだ。

私は毎回、「これこそがホワイトハウスの味、アメリカの味」と自分を納得させながら食べている。そして、心の片隅で「やはり日本の和牛は世界一だ」と考えている。

ただし、今回の夕食会から良くなった点もある。それは、これまでのブラックタイと指定されていたドレスコードが平服OKに変わったことだ。タキシードを持参する必要がなくなったのは非常に助かった。

米国の「迎賓館」の個室はまさかのカギなし

日本人に合わないという点では、宿泊したブレアハウスも不思議なことがあった。ブレアハウスは日本でいうと迎賓館にあたる施設で、各国の首脳が泊まる部屋については、ゴージャスな家具が並んでいる写真を見たことがある人もいるかもしれない。しかし、私のような随行員が泊まる部屋は、日本のビジネスホテルと大差ない。しかも、外交上の配慮なのか部屋にカギがかからない仕様になっている。カギがないのに、ドアのすぐ近くにシャワールームがあり、入浴中に部屋のドアが開くと丸見えになってしまう不思議な間取りだ。

(写真=U.S. Army photo by Elizabeth Fraser/Arlington National Cemetery/released)

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