ビジネスの場において、「クールビズ」の正解はあるのか。スタイリストの森井良行さんは「この数年で夏の身だしなみの正解が変わりつつある。特にノーネクタイ時のシャツには、多くの人が陥りがちな盲点がある」という――。
窓の外を見ている成熟したビジネスマン
写真=iStock.com/shapecharge
※写真はイメージです

大事な商談で「ノーネクタイ」は失礼にならないか

はじめて訪問する取引先に向かう道中、こんな迷いが頭をよぎる瞬間はありませんか。

「クールビズとはいえ初対面の商談、ノーネクタイで『誠意がない』と誤解されないだろうか」
「かといって、この猛暑のなか自分だけネクタイを締めていると、逆に空気が読めない堅物に思われないか」

ビジネスシーンにおける「身だしなみの正解」は、十数年前までシンプルなものでした。それは気温にかかわらず「スーツにネクタイを締める」という共通言語を守ること。ところが近年、その根本が変わりつつあります。

今回は、クールビズに対応した「夏の身だしなみ攻略法」をお伝えします。

「型を守るだけ」の着こなしは絶対NG

最高気温が40℃を上回る「酷暑日」が現実のものとなり、オフィスカジュアルも広く浸透した現在、夏のビジネスウェアにおける正解は1つに絞れなくなりました。身だしなみにおける「敬意の示し方」も、変化しているからです。

これまでの「決められた型を守る」から、「相手のカジュアル感(温度感)に合わせる」に“正解”が変化しているのです。

このパラダイムシフトを象徴するエピソードを紹介します。オフィスカジュアルが今ほど進んでいなかった数年前に、筆者が大手外資系IT企業にお勤めのクライアントから伺った話です。

ある日、銀行に訪問するためスーツにネクタイ着用で出勤し、その格好のままゲーム会社の打ち合わせに同席しました。すると、すでに関係性を築いていたこともあり、「何、そんな堅い格好しているの」と冗談交じりに声を掛けられたそうです。

このエピソードから学べるポイントは、まさに「相手のカジュアル感に、身なりを合わせる重要性」ではないでしょうか。そして「正解に幅がある状態」こそが、多くのビジネスパーソンを悩ませ、気づかぬうちに印象面でノイズ(誤解の元)を生んでいると私は捉えています。

それではファッション知識がなくても実践できる「相手に不快感を与えない」夏のビジネスウェアの方向性について、具体的に考えていきましょう。

サマージャケットとワイシャツの薄着スタイル
筆者撮影
サマージャケットとワイシャツの薄着スタイル