※本稿は、九和律(9割が知らない雑学)著、齋藤勝裕監修『生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語 科学の教養大全』(Gakken)の一部を再編集したものです。
A型からO型に輸血するとどうなる?
突然ですが、皆様は血液が薬として扱われていることをご存じでしょうか?
人体から出た瞬間に、血液は組織ではなく、薬として扱われます。だからこそ、古来より血は売買されていました。まあ、金銭欲しさに過度に売血する人が問題になり、血の売買は日本政府により終了しました。そうして、現在の献血制度になったのです。
さて輸血に関して、皆様はこんなことを聞いたことがないでしょうか? 「O型の血液型は、すべての人へ輸血出来る」と。逆にO型は、O型からしか輸血出来ません。
こういった事情から、O型は万能供血者(ユニバーサルドナー)と呼ばれ、O型は思いやりに優れるなど、根拠不明なことが性格診断で言われたりしています。
これは一見もっともらしく聞こえますが、考えてみればかなりおかしな話です。O型の血液をA型に輸血するのも、A型の血液をO型に輸血するのも、結局体内ではAとOが混ざるのですから一緒のはずです。にもかかわらず、O→AはOKで、A→Oがダメなのは、なぜなのでしょうか? 異なる血液型の血液を混ぜたら、一体、体内ではどうなるのでしょうか?
アメリカ初代大統領は「瀉血」で死んだ
歴史上初の輸血は1667年に行われました。フランスのジャン=バティスト・ドニという医師が、アントワーヌ・モロワという精神病患者へ羊の血を輸血したのです。彼の症状が改善することを期待してのことでした。ドニいわく「羊の穏やかな血が、モロワの血のほとぼりを緩和させるだろう」とのことです。さすが中世ヨーロッパの治療法、随分と迷走しています。
その他にも「瀉血」という、輸血とは逆に、血を抜く治療法もありました。毒を抜くように、血を抜けばすべて治ると信じられていたのです。
アメリカの初代大統領、ジョージ・ワシントンはある晩に発熱し、主治医たちは瀉血という当時の治療法を試みました。しかし血を抜いても抜いても症状は改善されず、ついにはワシントンは亡くなりました。本末転倒。死因は大量出血による失血死とされています。
と、まあこのように、当時は病気のすべては「血が原因」と考えられていたわけです。
正常な血を入れて病気を治そうとする治療法が生まれるのも当然でしょう。
ところで、羊の血を輸血された彼はどうなったのでしょう。

