「輸血ギャンブル」を終わらせた発見

驚くべきことに、モロワは死にませんでした。それどころか彼の精神状態は良くなったように見えました。これに気を良くしたドニ医師は、2度目の輸血を実施しました。すると状態は一変し、モロワは発熱し、腰に激しい痛みと腕に強烈な熱感が生じ、尿は濃い黒色をしており、ほどなくして彼は亡くなりました。ドニは殺人罪、毒殺の容疑で告発されました。まあ、羊の血ですからね……。

その後、200年以上、人々は輸血を試みてきましたが、そのほとんどは成功しませんでした。輸血は常に死と隣り合わせのギャンブルだったのです。しかし、成功したものもあるのです。

すべて失敗するのならともかく、なぜ成功する輸血もあるのか。これに目をつけたのは1900年、オーストリアの化学者カール・ラントシュタイナーでした。彼は同僚22人から血液を集め、それぞれの血を混ぜ合わせてみました。すると、互いの赤血球を破壊するパターン別で3タイプに分けられることが分かったのです。こうして血液にはA型、B型、O型があることが分かりました。