血がなくても血液型は特定できる

血液型の違いは突然変異由来だと言われています。

元々の祖先はO型もしくはA型に近い形でしたが、突然変異により赤血球に余計なものをつける酵素が生まれたことで分離しました。つまり、血液型がA型だとかB型だとか言うのは、本当は遺伝子が違うわけです。遺伝子の違いが、たまたま血液の赤血球の違いにも表れているに過ぎません。だからA型とB型は、別に赤血球だけでなく唾液や胃や腸の粘液も違うのです。

単に最初に、血液で遺伝子の違いを見つけたから「血液型」と名付けられているだけなのです。

刑事ドラマでも、犯人の捨てたタバコに付着した唾液から血液型を判定していたことがありましたが、あれは唾液からでも血液型が判定出来るからだったのですね。血液型の特定に必ずしも血は必要ではないのです。

異なる血液型は「混ぜるなキケン」

一般に、誤った血液型を50ml(大体おちょこ1杯分)輸血されただけで、人は死ぬとされています。これは人体の免疫反応が原因です。免疫とは、たとえばウイルスなどの病原体が体内に入ってきた時、その病原体を攻撃することで病気になることを防ぎます。

このアタッカーのことを「抗体」と言います。これがウイルスや細菌だけでなく、輸血にも起こってしまうのです。A型の人体からすると、B型の赤血球の外についているB型タンパク質が、ウイルスに構造が似ているためです。

じゃあ逆に、なぜ同じ血液型の血は輸血出来るのでしょう。A型からしても、A型の赤血球外側のA型タンパク質は、ウイルスに似ているのではないでしょうか。

人体は、なんでもかんでも免疫が反応するわけではありません。生まれた時からすでに自分の中にある細菌やウイルスには抗体を持っておらず、攻撃することがありません。そんなのを持っていたら自滅するだけですからね。つまり、免疫とは「異物」に反応するわけです。免疫はヤンキーと一緒です。他人に厳しく、身内に甘い。

赤血球の可否は、赤血球の外側に何がついているのかで、決まります。図としてまとめてみましょう(図表2)。

たとえばA型は、自身の赤血球の外側にA型タンパク質がついているので、B型のタンパク質がついているB型とAB型の血液を受け入れることが出来ません。B型も同様に、A型とAB型の輸血が出来ません。

AB型は、自身の赤血球の外側にA型とB型のタンパク質がついているので、A型もB型も受け入れられるため、すべての血液型の血液を受け入れられます。

逆にO型は、自身の赤血球の外側にA型もB型も何もついていないので、A型もB型もAB型もすべて異物です。ただし、O型は自分の赤血球がまっさらなため、すべての血液型に輸血出来る無害な血となるのです。

【図表2】異物でない物質であれば輸血可能
出所=『科学の教養大全』(Gakken)