アナフィラキシー・ショックの仕組み
ラントシュタイナーが注目したのは、これが「2度目の輸血」だったことです。先ほど説明したABO型の血液は、別の血液型に対して最初から人体が抗体を持っていました。だからこそ、A型をB型に輸血すれば最初から免疫システムが稼働します。
ここで彼らが考えたのは「抗体を持っていない有害物質が体内に入り込んできた時は、人体はどうするのか?」ということでした。人体がいかに優れているといっても、森羅万象すべての有害物質に対し、最初から抗体を持っているわけがありませんからね。
これの答えは「1度目の侵入の際に抗体を作る」というものです。有名な「ハチに2度刺されると危険」というのはまさにこれです。
1度目に体内に毒が入った際に人体で抗体が出来てしまい、1度目の毒は対処されます。ここまでは良いですが、以降時間が経つにつれ、体内で抗体がどんどん増殖します。2度目にはその多量の抗体が過剰反応し、重篤な症状を引き起こすのです(アナフィラキシー・ショック)。
「Rh+」→「Rh-」の輸血はアウト
このようなショックを引き起こすタンパク質が血中に発見されました。医者たちはこの実験を、人間と似たアカゲザル(Rhesus Monkey)の血液で実験したことから、この新しい血液区分を最初の2文字をとって「Rh」と名付けました。
ショックを引き起こすタンパク質を生まれながらに持つ血液型を「Rh+」、持たない血液型を「Rh-(マイナス)」と言います。皆様も一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。O型Rh-とか。
先ほどの夫婦の輸血も、夫がRh+、妻がRh-でした。1度目の輸血でRh+タンパク質が妻の体内に入り抗体が作られ、2度目の輸血で過剰反応してしまったわけです。
逆にRh+の人は、生まれつきRh+タンパク質があるからRh+同士の輸血なら問題ありません。+から-への輸血がダメなのです。輸血の際はABO以外に、Rhにも気をつけないといけません。
しかし、人類の戦いはまだ終わりません。この夫婦にさらなる悲劇が訪れます。なんと子どもを死産したのです。なぜ子どもが関係するのでしょう?
