糖尿病治療はどのような変化を遂げてきたのか。佐久市立国保浅間総合病院の糖尿病センター長の西森栄太さんは「糖尿病の病態解明の歴史は、体内での糖代謝の発見から、すい臓とインスリンの役割、遺伝的要因や人種によるリスクに至るまで、次々と新たな発見が重ねられてきた。こうした知見の積み重ねにより、かつては『不治の病』とされた糖尿病も、治療と予防が可能な病気へと変わりつつある」という――。
※本稿は、西森栄太『2型糖尿病は寛解する!』(新星出版社)の一部を再編集したものです。
日本人最初の糖尿病患者に起きた症状
日本で最初に糖尿病になったとされる歴史上の人物をご存じでしょうか?
それは、平安時代を代表する貴族、藤原道長です。彼の糖尿病の歴史は、平安時代に書かれた藤原実資の日記『小右記』に詳しく記録されています。この記録には、道長が糖尿病と思われる症状に悩んでいた様子が描かれています。
特に注目されるのは、彼が食事のたびに大量の水を飲み、なおも喉の渇きが続いたというエピソードです。これは現代でいう「多飲多尿」、つまり糖尿病の典型的な症状である高血糖状態によるものと考えられます。
また、道長の急激な体重減少も記録されており、これも糖尿病の進行に伴う特徴です。さらには、視力の低下(糖尿病網膜症や白内障の可能性)、胸の痛み(狭心症の可能性)、背中に大きな腫れ物(感染症の可能性)などの症状も記されています。
これらの症状を現代の医学知識に基づいて検証すると、藤原道長が糖尿病を患っていた可能性は非常に高いと言えます。

