日本本土の最東端に位置するのが北海道根室市の納沙布(のさっぷ)岬だ。歯舞群島の貝殻島までの距離はわずか3.7キロのこの地に「平和のシンボル」として1987年、25億円をかけて建てられた「オーロラタワー」が荒廃している。北方領土の対岸で何が起きているのか。経済ジャーナリストの櫛田泉さんが現地を取材した――。(前編)
納沙布岬にそびえるオーロラタワー
筆者撮影
納沙布岬にそびえるオーロラタワー

「日本固有の領土」にプーチン上陸

2026年8月13日、ロシア連邦のプーチン大統領が択捉島を訪問した。日本が返還を求めている北方領土にプーチン氏が足を踏み入れるのは初めてのことだ。

高市早苗首相は訪問当日に声明を発表。「日本国内の対露感情を一層厳しくし、中長期的な日露関係の回復を困難にした」として強く抗議し、「北方領土は歴史的にも国際法上も日本固有の領土」との立場を改めて強調した。日本政府はロシア側に外交ルートを通じて抗議を行っている。

日本とロシアの緊張状態が高まる9月初旬、北方領土と対峙する北海道根室市を訪れた。

ロシアの軍事演習で窓ガラスが揺れる

「国後島周辺でもロシア軍が軍事演習を行うことから、砲弾の衝撃波で自宅の窓ガラスが揺れました。根室港の沖合で閃光が見えることもあります。北方領土の支配を既成事実化する動きを強めていると言えます」

ある市民は、根室市の現状をこのように話してくれた。

今年に入り、ロシアは国後島周辺を軍事演習区域に追加し、根室港と向かい合う国後島の南方でも射撃演習を行ったという。なお、根室市から国後島までは40kmも離れていない。

※産経新聞「<独自>ロシアが北方領土での軍事演習拡大を通告 元日からの演習、国後島周辺を追加」(2026年1月27日)