カレーの本場といえばインド、というイメージが日本で定着している。しかし、インドにはもともと「カレー」という料理はなく、西洋を経て逆輸入された外来語だという。一体どういうことなのか。インド料理調査会著、アジアハンター代表・小林真樹さん監修『一度ハマると抜け出せない インド料理の歩き方』(三笠書房)より紹介する――。
インド料理、ターリーやチャイが並ぶ
写真=iStock.com/Lisovskaya
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もともとインドに「カレー」はなかった

カレーの本場といえば、インドです。にもかかわらず、もともとインドには「カレー」と呼ばれる料理はありませんでした。インド人にとって「カレー」は、外国人が名付けた外来語だからです。

カレーの語源になったとされるのが、もともと南インドの「香辛料を用いた炒め物」といった意味合いで使われていた「カリ(kari)」という言葉です。

それを、イギリス人より先にインドへ入植していたポルトガル人が言葉として取り込み、その後英語にも取り込まれて「curry」という言葉になったといわれます。

やがてcurryは主にアジア・中東・アフリカ圏発祥の、香辛料で味付けされた料理を指す呼び方として、広く定着しました。

それぞれ固有の名前で呼ばれる料理たち

とはいえ、もちろんインドではカレーという語が生まれるはるか前から、“カレー的な料理”は存在していました。そうした料理は、どう呼ばれてきたのでしょうか。

インドでは、スパイスを使ったおかず料理は、それぞれ固有の名前で呼ばれます。

たとえば「コランブ」(汁気のある煮込み)、「ワルワル」(揚げ炒め)、「コルマ」(ヨーグルトやナッツを使ったまろやかな煮込み)、「ヴィンダルー」(酢や唐辛子が効いた煮込み)などです。そうした固有の料理名が無数にあり、今なおインドでは、そうした名前が日常的に使われています。