日本で人気が高まっているインドの米料理「ビリヤニ」。歴史的にハレの日のごちそうとして定着した一方で、現代では日常食としても楽しめる二面性を持つという。ビリヤニをより美味しく食べる方法はあるか。インド料理調査会著、アジアハンター代表・小林真樹さん監修『一度ハマると抜け出せない インド料理の歩き方』(三笠書房)より紹介する――。
インド人にとって、ビリヤニはごちそうだ
ビリヤニには、祝い事や祭りといったハレの場で食べるごちそう、というイメージがあります。
ムガル宮廷で貴族たちが味わっていた贅沢な料理という出自に加え、かつてインドの多くの地域では雑穀などが主食の中心で米そのものが贅沢品だったことから、その米を肉とともに炊き上げるという点でも特別感があったはずです。
またインドでは、ごちそうは1人で味わうものではなく、みんなで分かち合うものという感覚が根強くあります。その点、大鍋による大量調理に向き、大人数で食べられるビリヤニは、まさにうってつけの料理です。
そこに、家庭では再現しにくい手間や技術も相まって、「ハレの料理」としての位置づけが定着していったのでしょう。
レトルト製品も登場する日常食へ
とはいえ現在では、こうした文脈にとどまらず、街の食堂や屋台、さらにはレトルト製品などを通じて、ビリヤニはより身近な存在にもなっています。日常の食事として、あるいは間食として、気軽に楽しめる料理でもあるのです。
それを踏まえると、「インド人にとってビリヤニはごちそうか」という問いへの答えは、「ごちそうでもあり、日常食でもある」というのが、実際のところではないでしょうか。
この二面性は、ハレの日のごちそうでありながら、回転寿司やスーパーの惣菜として日常にも溶け込んでいる、日本の寿司などにも通じるものがあります。

