ベジタリアン向けのビリヤニもある
なお、「米を肉とともに炊き上げる」という話をしましたが、ビリヤニは必ずしも肉を楽しむための“肉料理”というわけでもありません。たとえばインドには、肉や魚を使わないベジビリヤニも普通にあります。
これも、ビリヤニがインド各地でローカライズされるにあたって、厳格なヒンドゥー教徒をはじめベジタリアンも食べられるビリヤニをということで編み出されたものでしょう。
そもそも、今でこそ大きな肉の塊が入ったビリヤニが一般的ですが、本来は大きな肉塊が入っていなくても、旨みやスパイスの風味がしみた米を味わうこと自体に贅沢を感じられたはずです。
その意味でビリヤニは本来的には、肉料理というよりやはり「米料理」であるといえます。
ビリヤニの横にある「白いソース」の正体
お店でビリヤニを頼むと、よく白いソースのようなものが、カトリに入って添えられてきます。
これはヨーグルトにきゅうりや玉ねぎなどの野菜を和えた「ライタ」で、ビリヤニの辛さや脂っこさを和らげ、酸味やコクを加えてくれる、いわゆる“味変アイテム”です。
もっとも、その内容や呼び名は地域によってさまざまで、たとえば南インドのタミル地方では「タイル・パチャディ」と呼ばれます。また、同じ南インドのハイデラバードでは、よりサラサラな「ダヒー・チャトニ」が、よくビリヤニに添えられます。
食べ方の決まりは特になく、ビリヤニに少しずつかけて味の変化を楽しんだり、まとめてかけてごはんと混ぜ合わせたり、あるいは合間にカトリから直接飲んだりと人それぞれです。
豊かな“味変”のバリエーション
ちなみにハイデラバードでは、青唐辛子とピーナッツペーストを使った「ミルチ・カ・サーラン」というスープ状の付け合わせもよく出てきます。
また、地域によってはカレーソースが付いてくることもあり、こうした付け合わせとともに食べ進めることで、やや単調になりがちなビリヤニに変化を加えられます。
付け合わせといえば、ビリヤニに限らずインドの食堂では、紫玉ねぎやレモン、青唐辛子などが平たい小皿に盛られて提供されるのもおなじみの光景です。
いわば薬味のような存在で、料理と一緒に食べることで、パンチやアクセントを加えられます。こうした薬味類は、たとえなくなったとしても頼めばたいてい追加してもらえます。

