ビリヤニと似て非なる「プラオ」とは
ビリヤニはペルシャなどを発祥とする米料理プラオが源流と考えられます。そのプラオはインドのみならず、トルコ以西のヨーロッパや中央アジアにも広がり、ピラウ、ポロウ、ピラフなどの名称となって各地で現地化していきました。
語源こそ異なるものの、スペインの炊き込みごはんパエリアも、プラオがルーツの料理だといわれます。
ただしビリヤニの語源はプラオではなく、「火を入れる」といった意味のペルシャ語「ビリヤン」に由来すると考えられます。
当時のインドにとって文化の先進地であったペルシャの言葉を採り入れることで、“本格的”あるいは“洗練された”というようなニュアンスを込めたのかもしれません。
プラオとビリヤニの線引きは難しい
では、ビリヤニとプラオでは、具体的に何が違うのでしょうか。
明確な定義があるわけではありませんが、大まかには、プラオよりも香辛料を豊富に使い、よりスパイシーに仕上げたものがビリヤニで、プラオは比較的穏やかな味付けがなされることが多い印象です。
調理法の観点でも違いがあります。例外は多数あるものの、一般的にビリヤニは米と具材を層状に重ね、密閉した鍋で蒸し炊きするダム式で仕上げられるのに対し、プラオは米と具材を一緒に出汁で炊き上げる一体型の炊き込み式が基本です。
実際に両方を提供する店で食べ比べてみると、両者の違いをおおむね実感できるはずです。
もっとも、同じビリヤニに対して「ビリヤニ」と「プラオ」の呼び方が混在するケースもあります。たとえば、ビリヤニの聖地と称される場所の一つ、ラクナウのビリヤニです。
ビリヤニの聖地の一つ「ラクナウ」
ラクナウ式ビリヤニは、「ビリヤニではなくプラオだ」と主張する地元の人が少なくありません。その背景には、イスラム文化がインドで変容する中で生まれたビリヤニに対し、「自分たちの料理は、より正統である」という矜持があるのかもしれません。
またバンガロールには、アレカヤシの葉を乾燥させた器「ドンネ」に盛り付けた名物「ドンネビリヤニ」がありますが、店によっては同様の料理がプラオと呼ばれたりします。
そもそも、プラオもビリヤニも、祝い事や祭りなどハレの日によく食べられる料理である点は共通しています。
インド亜大陸出身の人に両者の違いを尋ねても、その定義は人それぞれです。どこからがビリヤニで、どこからがプラオかを明確に線引きするのは、なかなか難しいものがあります。
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