近年、日本にはインド料理店増え、インド料理が身近な存在になっている。しかし、日本のインド料理店の多くは、ネパール人が経営していることが多いという。一体どういうことなのか。インド料理調査会著、アジアハンター代表・小林真樹さん監修『一度ハマると抜け出せない インド料理の歩き方』(三笠書房)より背景を紹介する――。
インドカレー
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インド料理店が激増した裏に「ネパール人」

日本のインド料理店を手がけるのは、実はインド人よりもネパール人のほうが多い――。そんな話を聞いたことがあるかもしれませんが、実際、巷にある外国人経営のカジュアルなインド料理店は、ネパール人経営であることが多いです。

なぜ、こうした現象が起こっているのでしょうか。その端緒となったと考えられるのが、1970〜80年代頃から本格的にでき始めた高級路線のインド料理店です。

豪華な内装のもとでレストランインド料理を提供するこうした店では、インド人とあわせ、ネパール人が多く雇われました。ネパールはインドの北隣りに位置し、文化的に重なる部分もあって、インド料理店との親和性が高いこともあったのでしょう。

そして、店で働いたネパール人たちは、そこで得たインド料理店のノウハウを携えて、独立して新たにインド料理店を開きます。開店にあたっては、故郷ネパールから人を新たに呼び寄せ、コックとして雇う。

さらには、そうしたコックたちがやがて独立し、また自身の店を開き、ネパールから人を呼ぶ――。そうした連鎖が加速したのが、2000年代以降だと考えられます。

そしていつからか、こうしたネパール人経営のインド料理店は「インド・ネパール料理店」、略してインネパ店と呼ばれるようになりました。

100万~200万円を払って出稼ぎ

もともと、インド人やネパール人が海外で出稼ぎする際、仲介者やあっせん者に金銭を支払う、または借金をする習慣は19世紀のイギリス植民地時代からあったといわれます。外国人が新たにコックとして来日するには、働く店が決まっていないとビザが下りません。

それもあり、インネパ店の店主や仲介業者が来日志望のネパール人からビザ代、渡航費、手数料といった名目でお金をとって呼び寄せることが習慣化していきました。

その金額はおおよそ100万~200万円だったといわれ、実際に日本で働くネパール人コックの多くが、そうした形を通して来日したと見られます。

来日するネパール人にとっては、家族滞在の在留資格を利用すれば家族を呼び寄せられる点も、日本で出稼ぎを行う動機となりました。家族滞在で来日した家族は、許可を得ることで週28時間の就労ができ、夫はコックとして働き、妻はコンビニやホテルのベッドメイキングなどのパートをするという形が一般化していきます。