3人→90人→270人と増えていく
一部のインネパ店の中には、数十店もの支店や系列店を展開するところもあります。
たとえば、支店を出すごとに3人のネパール人コックを呼び寄せ、計30支店を出したとすると、それだけで90人が新たに呼び寄せられます。さらに90人がまた独立してネパール人を呼び寄せるとなると、それが270人になる。
もちろん、全てのコックが独立するわけでは決してありませんが、こうして“親”が“子”を呼び、“子”が“孫”を呼び……という構図で、インネパ店は急速に増えていったようです。
結果として、都会では一つの駅の徒歩圏内に複数のインネパ店が軒を連ねるという現在の状況が生まれていきました。
それにしても、なぜこうしたインド料理店の激増が、インド人経営よりもネパール人経営の店で多く起こったのでしょうか。
いくつかの理由が考えられますが、まずは政治・経済が不安定なネパールを離れ、海外で働くネパール人が多いことです。2015年の統計では、ネパールの国内総生産の約3割を、ネパール国外で働く人たちからの送金が占めました。
ネパール人は素直で柔軟性が高い
また、前述のようにインドとネパールでは文化が比較的重なることや、インド国内をはじめとする飲食店でインド料理を習得するネパール人が多いことも要因でしょう。
さらには、一般的にネパール人は素直で柔軟性が高いといわれ、雇われる側に回っても開業する側に回っても、その時々の状況に順応しやすい点も理由に挙がりそうです。
それにも関連しますが、インネパ店が高級路線のインド料理店をルーツに持ちながら総じてリーズナブルな価格設定を図ったことや、ナンを甘くふかふかにアレンジするなど日本人の嗜好に柔軟に合わせていったことも、インネパ店の隆盛(あるいは高級路線のお店の衰退)を後押ししたのかもしれません。
ポジティブ、ネガティブの両側面があるものの、少なくともこうしたインネパ店の増加によって、日本人にとってインド料理が身近な存在になったことは確かではないでしょうか。

