外国からインドへ逆輸入された言葉

かといって、インドでカレーという呼称が使われないわけでもありません。むしろ、外国から“逆輸入”された言葉でありつつ、カレーはカレーで定着しています。

外国人に向けて使う言葉としてはもちろん、インド人の間で使う言葉としても重宝されているのです。その理由は、単純に便利だからでしょう。

たとえば、レストランのお客が外国人であったり、インド人客でも他の地域出身であったりした場合、コランブやワルワルでは意味が通じない可能性があります。

それをいちいち説明しなくても済むよう、ひとまずはカレーという語を使いながら大まかに意味を伝えるのです。

実際にインド人をメインターゲットにしたレストランでも、「チキンカレー」「マトンカレー」など、カレーという表記が付いていることが珍しくありません。

したがって、そもそもインドに「カレー」はあるのかという問いに対しては、かつては存在しなかったものの、現在はインドにもカレーが存在するというのが一つの解になるでしょう。

「インド料理は激辛」は本当か

インド人は辛いものが大好きで、本場のインド料理はかなり辛い――。そんなイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際のところは、どうなのでしょう?

確かにインド料理は、チリ(唐辛子)を使う頻度が日本料理などに比べればかなり高く、辛いものが好きな人も、日本人よりインド人のほうが多いかもしれません。

木製の皿いっぱいに盛られた唐辛子
写真=iStock.com/Olesia Shadrina
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現地には、たとえば南部アーンドラ・プラデーシュ州のドライタイプの鶏肉炒め「チキン・ヴェプドゥ」や、西部マハーラーシュトラ州の名物「マトン・コールハープリー」など、かなり辛い料理、あるいは辛さをウリにした料理も実際にあります。

とはいえ、決して現地のインド料理が全般的にすごく辛いわけではなく、むしろそうした激辛料理は全体の一部で、多くは一般的な日本人が耐えうるレベルの辛さである印象です。またインド人であっても当然、赤ん坊の頃から辛いものを食べているわけではなく、辛いものがあまり得意ではないというインド人もいます。