※本稿は、ポッドキャスト「井上ヨウスケのお金の話で自分がわかるラジオ」の配信回「【警告】オルカン・S&P500一本で『詰む人』と『生き残る人』の決定的な差」の内容を再構成したものです。
長期投資を続けるときに最も大事なこと
投資アドバイザーの多くは、「資産形成は株式一本でいい」と言います。オルカン(全世界株式のインデックスファンド)でもS&P500でもいい、あとは積み立てて放っておけばいい、と。
その話を聞くたびに、いつも同じことを考えています。「この人なら、たしかにできるだろうな」と。そう言い切る人は、どのデータをどこで見ればいいかを知っています。なぜその結論になるのかを、自分の言葉で説明できる。本質を理解しているから、その人自身は株式100%でも持ちきれるのだと思います。
一方で考えたいのは、その助言を受け取る側です。FPのところに相談に来て「結局、何を買えばいいんですか」と聞く人がいます。その人が、同じ理屈で20年間持ちきれるかどうかは、また別の話だと思うんです。
ごく当たり前のことだと思います。それでも、この当たり前はあまり語られません。「株だけ買っておけばいい」という結論だけが、理由から切り離されて流通していきます。20年のあいだに相場の空気が変わったとき、乗り切れる根拠が自分のなかにない人が同じ行動を取れるのか。私はそこが気になっています。
私が「乗り切れるだろう」と思うのは、知識を腹落ちさせ、考え抜いている人です。そういう人なら、株式100%でも続けられると思います。もちろん、理屈が分かっていても、生活資金がショートすれば株を売らざるをえません。それは別の話です。ただ、準備をしていても怖くなって売ってしまうことがあります。あれは、自分が信じていたものが揺らいだ瞬間に起きるのだと思います。
科学的根拠より「信じられるか」
投資に限らず、何かを継続するというのは信念に基づく行為です。正しいから続けられるのではなく、正しいと信じられているから続けられるのだと思います。
例を挙げます。健康になりたい人の前に、商品が2つあるとします。
商品Aは科学的根拠が乏しく、健康へのプラスの影響はほとんど確認されていません。でも世間では「これはすごく体にいい」と信じられています。
商品Bは科学的根拠が豊富で、飲めば健康にプラスの影響が期待できるとされています。でも世間ではあまり良いものと思われていません。
どちらが売れるでしょうか。基本的にはAだと思います。
本来は科学的根拠が判断の基本であるべきだと思います。しかし人間の心理は単純です。体にいいと信じていないものを毎日とり続けるのは不可能でしょう。逆に、効くと思い込んでいれば、効果のないものでも続けられます。
だから、信じていたものが「実は健康に良くない」と言われた瞬間に、人は続けられなくなります。効果が消えたからではなく、信じるのをやめてしまったからです。正しくなくても、信じたいことのほうが選ばれやすい。人間の行動の強さとは、突き詰めれば信念の強さなのだと思うんです。
投資を20年続けるときの信念は、何でしょうか。その積立を支えているアンカーは、どこにあるのか。

