今後増えるのはインド・イスラム・アフリカ

そして、外国人労働者は低賃金水準の存在として社会に固定化され、“階層”ができあがる。同時に、外国人労働者の出身国は、日本文化との親和性ではなく賃金格差で決まるため、必然的に社会通念や文化的背景が大きく異なる途上国が多くなる。

今後、人口や賃金格差の面から受け入れが増えるとされる地域は、インドやイスラム圏、アフリカ圏などだ。すでにパキスタンとは19年に技能実習の協定を締結。インドとの50万人の“交流事業”においては、「特定技能」の全分野でインド国内における試験センター設立などが努力目標として外務省資料に記載されている。

また、現地の送り出しプログラムを通じて、出発前の職業語学訓練も補足的に提供するなど推進政策がとられている。これらの交流事業には、山梨など9自治体が参画。観光等、短期滞在の査証免除が認められていない国々の出身者を、地域住民として受け入れようとしているのだ。

もちろん、「労働者」としての彼らは、母国との比較において低賃金であっても納得して働くが、「地域住民」としての彼らには、日本の文化や社会通念に従うインセンティブは低い。賃金水準が低い環境で働いているのに、日本に倣って「郷に従え」と言うのは、虫が良すぎる話かもしれない。今後、彼らの“同胞”の数が増えていき世代も経ていけば、なおさらだろう。彼らも日本人と恋愛したいし、文化の違いからトラブルになるのは、当然の帰結だ。

【図表3】日本人/外国人・外国出身者 人口推移

「外国人街」が増え始めた背景

外国人の人権を尊重することは大切だ。しかし、際限なく彼らの権利を保障していくと、必然的に社会リソースをめぐって日本人と競合関係になってしまう。現在の共生政策は、開拓地を他の開拓民と分け合うようなものではなく、自国の土俵で文化や社会資源を一方的に外国人に「譲歩」しているのが実態だ。期待とともに来日する外国人も、人間として当然に有する主体性がある以上、彼らも「補完」ではなく「交換」を目指すのは当然だからだ。

例えば、外国人が増えた地域であっても、大抵は日本人も住んでいる。文化が異なる外国人が増えると必然的に昔から住む日本人住民にとっては居心地が悪く感じる。そして日本人は転出するようになり、やがて外国人街が形成される。

人手不足の企業は政治家に陳情できる機会はあっても、受け入れ負担に悩む住民の声が政治に反映されて、受け入れ自体が撤回されることはほぼない。ナイーブな問題に声も上げられず、政策が原因で変わってしまった居住環境により、住み慣れた地域を後にした人に「共生しようとしなかった偏狭な人間」と批判するのはあまりに酷だ。しかし、これらの光景は埼玉県川口市の一部など、各地で増え始めている現実なのだ。