中国が東南アジアで進める高速鉄道計画が行き詰まっている。ラオス区間は2021年に開通したものの、インドネシアでは国鉄トップが「時限爆弾」と警告し、タイでは着工9年で進捗率50%に留まると海外メディアが報じている。カネを出した国も出さなかった国も失敗し、中国が描く一帯一路鉄道網の限界が露呈しつつある――。
ラオス・中国鉄道の開通
中国・ラオス鉄道の車両[写真=東ティモール大使館(ビエンチャン)/PD-East TimorGov/Wikimedia Commons

5年で完成した中国ラオス鉄道

2021年12月、中国の習近平国家主席が10年以上描き続けた夢がひとつ、形になった。ラオスの首都ビエンチャンと中国国境の町ボーテンを結ぶ高速鉄道の開通だ。

ラオス国内区間は全長414km。東京を出た新幹線が名古屋駅を越え、米原に達するほどの距離に相当する。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国が建設費59億ドル(約9360億円、18日のレートで換算)の7割を負担し、2016年の着工から起算すると、わずか5年で敷設を完了させた。

ボーテンから先の中国側では、すでに雲南省昆明までの約508kmが開通済みだ。ラオス区間の完成により、昆明からビエンチャンまで約1000km(東京―山口間に相当)が一本の鉄路で結ばれた。

ラオス・中国鉄道 ビエンチャン駅
中国・ラオス鉄道のビエンチャン駅(写真=Dominik Landwehr/CC-BY-SA-4.0/Wikimpedia

開業以来、真新しい列車が毎日ビエンチャン駅を出発し、中国へと人と物資を運んでいる。米政府系放送ボイス・オブ・アメリカは、この路線は習近平政権が掲げる「一帯一路」構想の象徴だと指摘する。

中国は「一帯一路の成功モデル」と主張するが…

昆明からシンガポールまで、東南アジアを縦断する汎アジア鉄道網。その壮大な構想の第一歩として、中国―ラオス間は開通した。中国は金を出し、技術を出し、工期を守った。「一帯一路の成功モデルだ」と、中国は胸を張った。

ラオス・中国鉄道のルアンパバーン駅
中国・ラオス鉄道のルアンパバーン駅(写真=Jpatokal/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

だが、真の「成功」にはほど遠いとの指摘がある。

豪シンクタンクのローウィ研究所によると、アジア開発銀行はラオスの鉄道について「大きな経済的利益をもたらす可能性は低い」と評価し、「非常に大きな偶発債務(将来的に政府が負担する可能性のある債務)」をもたらすと警告している。5年で完成させても、採算が合わなければ元も子もない。

さらに中国は、ラオスの先に広がるタイへの延伸を計画している。ところが、あからさまに国内への関与を主張する中国に対し、タイ国民の間で警戒論が噴出。中国モデルを拒んだ結果、こちらは10年近く経っても線路が半分しか敷かれていない状況となっている。

中国がカネを出した国も、出さなかった国も行き詰まっている。東南アジアにおける中国の高速鉄道構想に、勝ちパターンはあるのか。