日本人の給料が上がらない本当の理由
その結果、日本人労働者の離職が加速する。やがて外国人労働者ばかりの職場になってしまい、彼らへの依存状態ができあがってしまう。これが、いわゆる「外国人がいないと回らない職場」の正体だ。また、例えば同地域にある介護事業所で、過半数が外国人の事業所と日本人ばかりの事業所が存在すれば、“経営合理性”のもと、「日本人排除」すら進みかねない。実際、SNS上ではこうした事例が報告される。
問題は「本当に労働力の不足分野の解消手段が外国人以外にないのか」だ。かつて高度経済成長期の有効求人倍率は1.6超と25年の1.22を大きく上回る水準であったにも関わらず、外国人受け入れ政策に頼らず、機械化や、労働市場メカニズムに従った賃上げで労働力不足を補い、現在のようにコンビニやチェーン店がない不便な面もあったが、国民の実感が伴う経済全体の強さと豊かさが実感されていた。
「外国人がいないと回らない」という“脅迫”
それを考慮すると、現在の人手不足の解消に、国民に受け入れ負担をもたらし、賃上げ要因が政策的に阻害される「外国人の受け入れ」以外に手段がないという「非代替性」の証明は一切ないのだ。あるのは、労働力供給の一部を人質に取ったかのような「外国人がいないと回らない」という一種の“脅迫”だけだ。
もちろん、外国人が異国の日本で懸命に働く姿は立派だ。しかし、その光景の本質は、「外国人が日本を支えている」という美談ではなく、本当に支えているのは企業が日本人への賃上げを回避することで得られる利ザヤだ。
実際、過去10年で、実質賃金は右肩下がりの一方、国内企業の「稼ぎ」、すなわち営業利益率の上昇幅は、およそ1.5倍に拡大している。その一部に外国人労働者の受け入れ政策が寄与している可能性が考えられる。
当たり前だが、企業活動はボランティアではなく、利益を得ることが目的だ。日経新聞が昨年11月に行った社長アンケートで、実に9割超が外国人労働者受け入れに賛成だったのも頷ける。

