※本稿は、高橋克英『超富裕層に「おもてなし」はいらない 世界の一流が日本に惹かれる本当の理由』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。
平日の六本木に集う若き富裕層の正体
ニセコの活況を支えているのは世界的な「カネ余り」によって行われる富裕層の投資や消費だ。平日の東京都心を歩いていると、百貨店など商業施設や飲食店も含め、小奇麗でブランド物で着飾ったミドル・シニアだけでなくむしろ20代から40代の若い男女で溢れている。
例えば、六本木ヒルズにある外資系ラグジュアリーブランドホテル「グランド ハイアット 東京」のダイニング「フレンチキッチン」やカフェ「フィオレンティーナ」では、海外からの観光客やビジネスパーソンに交じって、優雅にオープンテラスで朝食をとったり、ワインを傾けながら、2時間を超えるランチを楽しんだりする紳士淑女の姿も多く見かける。
けやき坂通りを挟んで反対側にあるベーカリーカフェ「bricolage bread and co.」でも、テラス席は毛並みのいい愛犬を連れた近隣住民で朝早くから常に賑わっている。
以前から一定数は存在しているものの、退職者や年金受給者のシニア層に加え、会社員然とした働き方ではない、起業や不動産収入、金融資産運用などで悠々自適に生活できる層が増えているのだ。
働かない若者が増えているワケ
具体的に言えば、家族からの相続資金、不動産の賃貸収入、株式の運用益や配当など、また、FXや仮想通貨による売買益、動画配信やSNSからの広告収入、デジタル関連の起業やM&Aによる売却益、ストックオプションなどにより、巨額の富を得て、若くして働かなくても暮らしていけるストックリッチ、フローリッチな人々。
つまり、働かなくてもいい人が目に見えて増加している。コロナショックもあり、日本だけでなく欧米の政府と中央銀行により、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられてきた。金融緩和策とは、極めてシンプルにいってしまうと、中央銀行が、人工的に市中に出回るおカネの量を増やすことで、経済を下支えし、浮上させよう、というものだ。
各国の中央銀行からマネーが際限なく供給されているなか、水の流れと同じように、おカネは必ずどこかに流れ着く。本来、金融緩和は、大量に供給されたおカネが、預金から銀行貸出を通じて企業の設備投資や運転資金に回り、経済や雇用の活性化にげるために行っている。
しかし、金融緩和策が余りにも大規模であるため、そこから余りれたおカネは、余剰資金として、世界的にも規模が大きく流動性もある株式市場や不動産市場に流れることになる(図表1)。


