金利の低さが生んだ「富裕層の一人勝ち」
このため、極論をいえば、高い信用力を持つ日米欧が大規模な金融緩和策を採っている限り、市中のおカネはジャブジャブ状態にあり、国際金融市場は悪くなりようがない。こうした金融緩和策などの恩恵を最も受けるのは、既に資産・資金を十分に持ち、その資産・資金を元手に投資や開発を行うことができる大手事業者や富裕層だ。
実際のところ、低利で銀行から融資を調達することで不動産投資を行い、資産を積み上げた富裕層も多い。結局のところ、古今東西を問わず、富裕層の富の源泉は、株式(起業や経営含め)と不動産の力による場合がほとんどのはずだ。
こうして誕生した新たな富裕層は、その資産を元手にレバレッジをかけたり、ハイリスク・ハイリターンな投資をしたり、地域や通貨や商品の分散などを図ったりして、ますますその資産を増やすことに成功することになる。まさに、投資が投資を、富が富を生む世界だ。
日本においては、日本銀行による金融緩和政策は、2013年4月から2024年3月まで10年以上続いてきた。2024年3月には「金融政策の正常化」のため、日銀は17年振りの利上げを実施。
以来、2025年12月末までに合計4度の利上げが行われたことで「金利のある世界」が久々に到来し、更なる金利引上げも想定されている。
なぜ給料が上がっても生活が苦しいのか
もっとも、景気が過熱している訳ではなく、以下にみるように「実質賃金」が依然として低下している現状を見る限り、相次ぐ利上げを伴う急激な金融政策の変更ができる経済環境にはない。
日本においては、依然として政策金利は0.75%(2026年1月末)にとどまっており、いまだに「緩和的な金融環境は維持」されており、低金利であるともいえる。
実質賃金とは、実際に受け取る賃金から物価の影響を取り除いたものであり、例えば、給与が2%上昇しても、物価が4%上昇した場合、名目賃金は上がっても実質的な購買力は低下したことになり、実質賃金はマイナスとなる。
厚生労働省によると、実質賃金は、2022年から4年連続マイナスであり、2025年は通年でマイナス1.3%。足元の2025年12月はマイナス0.1%であり、12カ月連続マイナスを記録している。
高市早苗首相は、経済安全保障担当相時代にも「実質賃金が安定的に上昇し、消費マインドが回復し需要が供給を上回る適切なインフレが実現するまで、緩和のスタンスをとらなければならない」(2024年9月19日)と発言しており、大枠でこうした状況が劇的に改善しない限り「カネ余り」は続くといえよう。

